ちょっと待って!社会人1年目の君、その保険、本当に必要?9割の20代が払いすぎている保険料のワナ。

やあ、社会人1年目、本当におめでとう。 期待と少しの不安が入り混じった、そんな毎日を送っているんじゃないかな。新しい環境、新しい仕事、そして初めて自分で稼いだお給料。これから始まる長い社会人生活が、君にとって素晴らしいものになることを心から願っているよ。

さて、そんな希望に満ちた新生活の中で、少しだけ現実的な話をさせてほしい。 それは「保険」についての話だ。

きっと、会社の研修や、心配してくれているご両親から「社会人になったんだから、保険くらいちゃんと考えなさい」なんて言われている頃じゃないかな。駅前で声をかけてくる保険のお姉さんや、知人から紹介された営業担当者から、分厚いパンフレットを見せられて、少し戸惑っているかもしれない。

「若いうちから入っておくのが得ですよ」 「将来のために、貯蓄も兼ねて始めましょう」

そんな甘い言葉を聞かされると、「そういうものなのかな…」と流されてしまいそうになるよね。

でも、少しだけ立ち止まって考えてみてほしい。 40代になった僕が、これまでの経験を振り返って断言できることがある。それは、**「20代独身の君に必要な保険は、実はごくわずかだ」ということ。そして、もっと言うなら「入らない勇気を持つことが、賢い社会人生活の第一歩だ」**ということなんだ。

この記事では、僕が君くらいの年齢の時に知りたかった、「保険との賢い付き合い方」を伝えたいと思う。この記事を読み終える頃には、君は月々数千円という負担で、将来の自分をしっかりと守るための「必要最低限の保険」が何なのか、はっきりと理解できるようになっているはずだ。

【第1章】大前提:日本の公的保険は世界最強レベル!まずは「最強の味方」を知ろう

民間保険の話をする前に、絶対に知っておいてほしいことがある。 それは、僕たちが日本で暮らしている限り、すでに**「世界最強レベルの保険」**に加入しているという事実だ。

そう、君が会社からもらった「健康保険証」。それこそが、最強のお守りなんだ。 多くの人は、病院の窓口で提示して「医療費が3割負担になるもの」くらいにしか思っていないかもしれないけれど、その真価はそんなものじゃない。

■ 健康保険証が「最強のお守り」である理由

君の健康保険証には、「高額療養費制度」という、とてつもなくパワフルな機能が備わっている。

これは、もし病気やケガで入院・手術をして、1ヶ月の医療費がどれだけ高額になっても、自己負担額には上限があるという制度だ。

例えば、君の月収が25万円だったとしよう。 ある日、不運にも大きな病気が見つかって手術をすることになり、その月の医療費の総額が100万円かかったとする。通常なら3割負担だから、窓口で30万円を支払う計算になるよね。これは新社会人にとって、とてつもない大金だ。

でも、高額療養費制度があるから大丈夫。 君の収入の場合、自己負担額の上限は**「約8万7,430円」**になる。

つまり、どれだけ医療費がかかろうと、君が実際に支払うのは9万円弱で済むんだ。差額の約21万円は、君が加入している健康保険がすべてカバーしてくれる。これって、ものすごく心強くないかい?

■ 傷病手当金という「給与の補償」

さらに、もう一つ。 健康保険には「傷病手当金」という制度もある。これは、病気やケガが原因で会社を連続して3日以上休んだ場合に、4日目以降、最長で通算1年6ヶ月間、お給料の約3分の2が支給されるという制度だ。

つまり、もし働けなくなっても、すぐに収入がゼロになるわけではないんだ。約1年半は、生活を立て直すための十分なサポートが国から受けられる。

この2つの制度、「高額療養費制度」と「傷病手当金」があるおかげで、僕たちは「医療費で破産する」とか「少し働けない期間があっただけで路頭に迷う」といった最悪の事態は、かなりの確率で避けられるようになっている。

まずは、この「最強の味方」の存在をしっかりと覚えておいてほしい。 民間保険を考えるのは、その後からで全く遅くない。民間保険の役割は、この最強の味方でもカバーしきれない、いくつかの「小さな穴」を、ピンポイントで埋めることだけなんだ。

【第2章】結論:20代独身・社会人1年目に本当に必要な保険は「これだけ」

さて、僕たちがすでに強力な公的保険に守られていることは理解してもらえたと思う。 それを踏まえて、いよいよ本題に入ろう。

社会人1年目、そして独身である今の君に、僕が「これだけは入っておいた方がいい」と考える民間保険は、たったの2種類だ。

① 手頃な掛け金の「医療保険」 ② もしもの時の「就業不能保険(または所得補償保険)」

この2つだけ。本当に、これだけでいい。 なぜ、この2つだけなのか。そして、どんなものを選べばいいのかを解説していくね。

■ なぜ「医療保険」が必要なのか?

「あれ?高額療養費制度があるなら、医療保険っていらないんじゃないの?」 そう思うよね。その視点はとても正しい。

確かに、治療費そのものは公的保険で大部分がカバーされる。でも、実は高額療養費制度の対象にならない費用がいくつかあるんだ。

  • 差額ベッド代: 個室や少人数の病室に入院したい場合にかかる費用。1日あたり5,000円〜数万円かかることも。
  • 入院中の食事代: 1食あたり数百円、自己負担が必要。
  • 先進医療費: 公的保険の対象外となる最新の医療技術にかかる費用。
  • その他雑費: パジャマやタオルのレンタル代、お見舞いに来てくれた家族の交通費など。

こうした費用は、全額自己負担になる。入院が長引けば、じわじわと家計を圧迫することになるだろう。 この「公的保険でカバーできない実費部分」に備えるのが、民間保険の「医療保険」の役割だ。

選び方のポイントは、「入院日額5,000円」程度のシンプルな保障で十分だということ。これに、もし心配なら数百円で付けられる「先進医療特約」をプラスするくらいでいい。 これくらいの保障内容なら、月々の保険料は1,500円〜2,000円程度に収まるはずだ。

■ なぜ「就業不能保険」が必要なのか?

これは特に、実家を出て一人暮らしをしている君に、真剣に考えてほしい保険だ。

第1章で「傷病手当金」という制度があるから、約1年半は収入が保障されると話したよね。 でも、もし病気やケガが長引いて、1年半経っても職場に復帰できなかったら…?その時、傷病手当金の支給は終わってしまう。

そうなると、本当に収入が途絶えてしまうんだ。 障害年金という別の公的制度もあるけれど、支給されるためのハードルは決して低くない。

この「傷病手当金が切れた後」の、長期的な収入減に備えるのが「就業不能保険」なんだ。 これは、働けない状態が続いている限り、毎月10万円、15万円といった形で、お給料のように保険金が支払われる保険だ。

頼れる家族がいるうちはまだしも、独身で、誰にも経済的に頼れない状況で収入が絶たれてしまうのは、あまりにもリスクが大きい。だからこそ、この保険の優先順位は高いと考えている。

これも、保障額を「月々10万円」程度に設定すれば、保険料は1,500円〜2,500円程度で見つけられるだろう。

■ 保険選びの大原則は「お守り」感覚

この2つの保険を合わせても、月々の保険料は合計で3,000円〜5,000円に収まるはずだ。 今の君にとって、保険にかけるべきお金は、この金額が上限だと僕は思う。

そして、もう一つ大事なこと。 保険は**「掛け捨て」**で選ぶこと。「払った保険料が戻ってくる」「貯蓄にもなりますよ」という貯蓄型の保険は、一見魅力的に聞こえるけど、これには手を出してはいけない。理由は次の章で詳しく話すね。

保険はあくまで「万が一の損失に備えるためのコスト」と割り切る。貯蓄や資産形成は、もっと効率のいい別の方法でやる。この「保険と貯蓄の分離」こそが、賢いお金の付き合い方の基本なんだ。

【第3章】ちょっと待って!20代の君に「不要」な保険リスト

ここまで「必要な保険」の話をしてきたけれど、同じくらい大切なのが「不要な保険を知っておくこと」だ。 保険会社の営業担当者は、巧みな話術で君の不安を煽り、「あれもこれも必要ですよ」と提案してくるかもしれない。

でも、以下の保険については、今の君が「いりません」とはっきり断れるように、その理由をしっかり頭に入れておいてほしい。

① 死亡保険(生命保険)

  • 不要な理由: 死亡保険とは、自分が死んだ時に「遺された家族」にお金を残すための保険だ。ということは、守るべき家族、つまり君の収入に頼って生活している配偶者や子供がいないのであれば、高額な死亡保障は全く必要ない。
  • よくあるセールストーク: 「お葬式代くらいは準備しておきましょう」と言われるかもしれない。確かにお葬式には200万円前後の費用がかかる。でも、考えてみてほしい。そのお金のために、毎月数千円の保険料を何十年も払い続ける必要があるだろうか?それよりも、社会人になった今から少しずつ貯蓄を始めて、現金で200万円を用意しておく方が、よっぽど合理的だ。

② 貯蓄型の保険(終身保険、養老保険など)

  • 不要な理由: これが最も注意すべき保険だ。「保険で貯蓄もできるなんて一石二鳥!」と思ってしまいがちだけど、これは大きな間違い。貯蓄型保険は、払った保険料の一部を保険会社が運用してくれる商品だけど、その運用利回り(返戻率)は、正直なところ、かなり低い。
  • 大きなデメリット:
    • お金が増えない: 今の時代、iDeCoや新NISAといった、もっと効率的にお金を増やせる制度がある。
    • インフレに弱い: 30年後に300万円が戻ってきても、物価が上がっていたら、その300万円の価値は今よりずっと目減りしている。
    • 途中で解約すると損をする: 急にお金が必要になって解約すると、払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこない(元本割れ)リスクが非常に高い。

お金を「守る」のが保険、「増やす」のが投資や貯蓄。この役割をごちゃ混ぜにしてはいけない。

③ がん保険

  • 「不要」というより「まだ早い」理由: 日本人の2人に1人ががんになる時代、と聞くと不安になるよね。でも、データを見ると、20代でがんと診断される確率は非常に低い。もちろんゼロではないけれど、その低い確率のために、今から単体の手厚いがん保険に加入するのは、少しコストパフォーマンスが悪いかもしれない。
  • 賢い備え方: もしどうしても心配なら、第2章で紹介した医療保険に、月々数百円で付けられる「がん特約」を付加する形で十分対応できる。本格的ながん保険の検討は、がんのリスクが少しずつ高まってくる30代、40代になってからで全く遅くない。

④ 個人年金保険

  • **不要な理由:**これも貯蓄型保険の一種。「老後のために」という言葉は魅力的だけど、これもお金を増やすという観点では非効率的。老後資金を準備するなら、税金の優遇が受けられて、もっと高いリターンが期待できるiDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISAを最優先で始めるべきだ。

【第4章】失敗しない!保険選びの具体的なアクションプラン

さて、必要な保険と不要な保険がわかったところで、最後に具体的な行動の起こし方を伝えよう。

■ ステップ1:まずは自分で情報を集める

いきなり誰かに相談しに行くと、その人の意見に流されてしまう可能性がある。まずは、ネットで情報を集めてみよう。 複数の保険会社の商品を一覧で比較できるサイトがいくつかあるので、そういうサイトで「医療保険」「就業不能保険」が、それぞれどんな保障内容で、保険料はいくらくらいなのか、相場観を掴むのがおすすめだ。特に、ネット専業の保険会社は、人件費が少ない分、保険料が割安なことが多いから、ぜひチェックしてみてほしい。

■ ステップ2:相談するなら「中立な人」を選ぶ

ある程度、知識がついたら、専門家に相談してみるのもいいだろう。 その時に大事なのは、**「特定の保険会社に所属していない人」**に相談することだ。

例えば、「〇〇生命」という看板を掲げているお店の人は、当然ながら自社の商品を勧めてくる。 そうではなく、複数の保険会社の商品を取り扱っている「保険ショップ」や、特定の金融機関に属していない「独立系のFP(ファイナンシャルプランナー)」に相談しよう。彼らなら、君の状況に合わせて、様々な会社の中から最適な商品を提案してくれるはずだ。無料相談を実施しているところも多いよ。

■ ステップ3:冷静に比較し、焦らず決める

いくつかの見積もりを取ったら、保障内容と保険料のバランスをじっくり比較しよう。 「今日決めてくれたら、保険料が少し安くなりますよ」といった言葉に焦る必要は全くない。保険は、これから何十年と付き合っていくものかもしれない、大切な契約だ。納得できるまで、時間をかけていい。

もし、少しでも疑問に思うこと、腑に落ちないことがあれば、何度でも質問しよう。君が「これなら安心だ」と心から思えるものが見つかるまで、決して妥協しないでほしい。

【まとめ】保険は「人生のお守り」。でも、お守りに全財産をかける必要はない

長い話になったけれど、僕が君に伝えたかったことは、とてもシンプルだ。

  • 僕たちは、すでに「健康保険」という最強の保険に入っている。
  • 20代独身の君が、民間保険で備えるべきは「公的保険で足りない部分」だけ。具体的には「医療保険」と「就業不能保険」の2つで十分だ。
  • 死亡保険や貯蓄を兼ねた保険は、今の君には不要。保険料は月々3,000円〜5,000円に抑えよう。
  • そして、保険で節約できたお金は、ぜひ君自身の未来のために使ってほしい。新しいことを学ぶための自己投資や、将来の資産を作るためのNISAなど、もっと夢のあることにお金を使おう。

保険は、君の未来を縛るためのものではない。 万が一のことがあっても、お金の心配をせずに、安心して未来へ向かって挑戦し続けるための、力強い”土台”となるものなんだ。

この記事が、君が賢い社会人として、そして自分らしい人生を歩むための、最初の一歩を踏み出すきっかけになったら、これ以上に嬉しいことはないよ。


【免責事項】 この記事は、筆者個人の経験や調査に基づく見解をまとめたものであり、特定の商品への加入を強制したり、将来の成果を保証したりするものではありません。保険制度や税制は改正されることがあります。記事の情報は2025年10月時点のものとしてご覧ください。本記事は、金融商品に関する専門的なアドバイスを提供するものではありません。保険商品の選択や契約にあたっては、ご自身の判断と責任において、最新の情報を保険会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家にご確認の上、最終的な決定を行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です