コインランドリー vs 自宅洗濯機「タイパ」で選ぶならどっち? ライフスタイル別(単身・学生・ファミリー)徹底比較ガイド

はじめに:その悩み、私(40代)も通ってきました

こんにちは。気がつけば40代、人生の折り返し(と信じたい)地点に立ち、これまで幾度となく「引越し」と「家電の買い替え」を経験してきました。

最近、大学進学で一人暮らしを始める知人のお子さんや、転勤で都市部に引越す友人から、立て続けに同じ質問を受けました。

「洗濯機って、買ったほうがいいですか? それともコインランドリーで十分ですかね?」

昔なら「一家に一台、洗濯機は当たり前」でした。しかし、今はライフスタイルが驚くほど多様化しています。高性能なコインランドリーが至る所にでき、ミニマリストという言葉が定着し、一方で乾燥機付きドラム式洗濯機は10万円、20万円があっという間に飛んでいく高級品にもなりました。

「コインランドリーは高い」「いや、洗濯機を所有するコストこそ高い」――。

どちらの意見も一理あります。だからこそ、この「洗濯どうするか問題」は、単に「安いか高いか」だけでは結論が出せない、非常に奥深いテーマなのです。

この記事では、40代の私が持つ経験と、最新のデータを基に、この永遠のテーマに終止符を打ちたいと思います。単なるコスト比較だけでなく、**特に「時間」(タイムパフォーマンス=タイパ)**という観点、そしてあなたのライフスタイル(単身・学生、多忙な社会人、ファミリー)にとって、どちらが本当に「お得」で「賢い」選択なのか。一緒に考えていきましょう。


第1章:数字で見る「1回の洗濯コスト」残酷な真実

まず、誰もが気になる「お金」の話から始めましょう。感情論を抜きにして、冷徹な数字から見ていきます。

1-1. 自宅洗濯機のコスト(1回あたり)

自宅で洗濯機を回す場合、かかるのは「電気代」「水道代」「洗剤代」です。機種や契約プランによりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 洗濯のみ(縦型・標準コース):
    • 電気代+水道代:約30円~40円
  • 洗濯乾燥まで(ドラム式・標準量):
    • 電気代+水道代:約70円~90円(※ヒートポンプ式の場合。ヒーター式だともっと高くなります)

これに洗剤代が数円〜十数円加わります。驚くほど安い、と感じるかもしれません。そう、ランニングコストだけ見れば、自宅の洗濯機は非常に優秀なのです。

1-2. コインランドリーのコスト(1回あたり)

一方、コインランドリーはどうでしょうか。店舗や地域によって差はありますが、相場はこのようになっています。

  • 洗濯のみ(中型機):
    • 約300円~500円
  • 洗濯乾燥機(標準コース・中量):
    • 約800円~1,200円
  • 乾燥機のみ:
    • 10分 100円(30分乾燥なら300円)

1-3. 結論:ランニングコストは自宅が圧勝。しかし…

数字を並べると、結論は明白です。

1回あたりの洗濯コストは、自宅洗濯機がコインランドリーの「約10分の1」で圧勝です。

もし、あなたが毎日洗濯機を回すとして、そのたびに800円を払っていたら、1ヶ月(30日)で24,000円。自宅なら月900円(30円×30日)です。この差はあまりにも大きい。

「じゃあ、やっぱり洗濯機を買うべきだ」

そう結論づけるのは、まだ早いのです。なぜなら、この計算には「初期費用」と「あなたのライフスタイル」、そして何より**「あなたの時間の価値」**という、最も重要な変数が含まれていないからです。


第2章:【ライフスタイル別】あなたに最適なのはどっち?徹底シミュレーション

ここからは、具体的な3つのライフスタイル別に、「初期費用」と「利用頻度」を考慮したシミュレーションを行います。

2-1. ケース1:単身者・学生(特に1〜2年の短期滞在)

大学の2年間だけ、あるいは新社会人で最初の2年は寮(または単身赴任)など、滞在期間が短いケースです。

  • 洗濯頻度: 週2回(溜めて洗う)
  • 洗濯機(新品): 購入費+設置費=約50,000円と仮定

【シミュレーション】

  • コインランドリー(洗濯乾燥)の場合:
    • 週2回 × 800円 = 1,600円/週
    • 1年間:1,600円 × 52週 = 83,200円
    • 2年間:166,400円
  • 自宅洗濯機(洗濯のみ)の場合:
    • 初期費用:50,000円
    • ランニングコスト(1年):週2回 × 40円 × 52週 = 4,160円
    • 1年間の総コスト:54,160円
    • 2年間の総コスト:58,320円

【結論】

このシミュレーションでは、「1年未満」ならコインランドリーの方が総コストは安く(※厳密には約7〜8ヶ月が損益分岐点ですが)、「1年以上」住むなら洗濯機を買った方が圧倒的に安くなります。

もし滞在が1年と決まっているなら、洗濯機購入費50,000円に対し、コインランドリー代は83,200円。差額は約3万円です。しかし、洗濯機を「買う手間」「設置する手間」「引越時に処分(または輸送)する手間」を考えると、この3万円は「手間賃」として許容できる範囲かもしれません。

学生・短期滞在者へのアドバイス:

1年以上住むなら洗濯機の購入を強く推奨。ただし、引越しが面倒なら「中古家電レンタル」も選択肢。1年未満なら、初期費用ゼロのコインランドリー生活が合理的です。

2-2. ケース2:単身者(多忙な社会人・都市部)

フルタイムで働き、残業も多い。家と会社の往復で、洗濯は週末にまとめて、あるいは夜中に。時間は有限、できれば家事の手間は最小限にしたい、というケースです。

この層が重視するのは「コスト」よりも「時間」と「クオリティ(仕上がり)」です。このケースについては、次の第3章で「時間の価値」としてさらに深掘りします。

2-3. ケース3:ファミリー(子育て世帯・持ち家)

子どもがいて、毎日大量の洗濯物が出る。汚れ物も多く、洗濯の頻度は1日1〜2回に及ぶケースです。

  • 洗濯頻度: 毎日1〜2回

【シミュレーション】

もし、この洗濯量をすべてコインランドリーで賄おうとしたらどうなるでしょう。

  • 毎日1回 × 800円 = 24,000円/月
  • 年間:288,000円

これは非現実的です。ファミリー世帯にとって「自宅洗濯機」は、冷蔵庫やコンロと同じ「必須インフラ」です。

【結論】

ファミリー世帯の答えは明確です。**「自宅洗濯機は必須」**です。議論の余地はありません。

ただし、ここで終わらないのが現代の洗濯事情です。ファミリー世帯にこそ、**「コインランドリーの併用」**を強くお勧めします。

  • 梅雨や冬場の「乾燥機だけ」利用:自宅で洗った大量の洗濯物を、コインランドリーの大型乾燥機(10分100円)で一気に乾かす。300〜400円で、家族全員の洗濯物がふかふかに乾き、生乾きストレスから解放されます。
  • 「大物」専用として利用:シーツ、毛布、布団、ラグマット。自宅の洗濯機では洗えない(または洗いたくない)大物は、コインランドリーの大型洗濯乾燥機が最適です。ダニ対策にもなります。

ファミリー世帯へのアドバイス:

自宅洗濯機(できれば大容量)は必須です。その上で、週に一度の「乾燥デー」や月一度の「大物デー」にコインランドリーを活用する「併用スタイル」が、家事負担を最も軽減します。


第3章:「時間」という最も高価なコストで考える【詳細版】

40代にもなると、若い頃には無限にあると思っていた「時間」が、いかに貴重な資源であるかを痛感します。最近よく聞く「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉は、まさにこの感覚を表しています。

洗濯という家事を、「時間」の観点で分解し、どちらが本当に「タイパ」が良いのかを徹底的に分析します。

3-1. 洗濯の「総時間」を分解する(移動・作業・待ち時間)

洗濯にかかる時間を、「実作業時間(自分が手を動かす時間)」と「拘束時間(待つ時間)」に分けて比較してみましょう。

  • ① 自宅洗濯機(縦型・天日干し)
    • 洗濯物を投入・スタート(5分・実作業
    • 洗濯(40分・放置可能
    • 洗濯物を干す(15分・実作業
    • 乾くのを待つ(数時間・天候次第
    • 取り込む(10分・実作業
    • 畳む(15分・実作業
    • 【合計】実作業:約45分
    • 【特徴】 実作業時間が最も長く、天候に左右され、プロセスが分断されます。「干す」「取り込む」という作業から逃れられません。
  • ② 自宅洗濯機(ドラム式・乾燥まで)
    • 洗濯物を投入・スタート(5分・実作業
    • 洗濯乾燥(約3時間・放置可能
    • 畳む(15分・実作業
    • 【合計】実作業:約20分
    • 【特徴】 家電に初期投資(十数万〜)することで、実作業時間を極限まで圧縮できます。天候にも時間帯にも左右されない、**「タイパ最強」**の選択肢の一つです。
  • ③ コインランドリー(洗濯乾燥)
    • 家から移動(往復10分・実作業/移動)※片道5分と仮定
    • 洗濯物を投入・スタート(5分・実作業
    • 洗濯乾燥(約60分・拘束時間
    • 畳む(15分・実作業
    • 【合計】実作業:約20分+移動10分
    • 【特徴】 実作業時間はドラム式並みに短いですが、「移動」と「60分の拘束時間」が発生します。

3-2. コインランドリーの「タイパ」:拘束されるが、実作業はゼロ

上の比較で重要なのは、コインランドリーの「60分の拘束時間」をどう捉えるかです。

もし、そのコインランドリーが「自宅のすぐ隣」で、「60分の間に近所のスーパーで買い物を済ませられる」あるいは「併設のカフェで仕事ができる」という環境ならどうでしょう。

「洗濯」というタスクが、「買い物」や「仕事」という別のタスクと同時に処理できることになります。これは、マルチタスクをこなしたい人にとって、非常に高いタイパを発揮します。**「洗濯のために60分待つ」のではなく、「買い物のついでに洗濯が終わる」**という発想の転換です。

一方で、コインランドリーが自宅から遠い(車で片道10分など)、あるいは周囲に何もない場合、この「移動」と「待ち」の時間は純粋な無駄時間となり、タイパは急激に悪化します。

3-3. 自宅洗濯機の「タイパ」:拘束されないが、実作業が発生

自宅洗濯機の強みは、「移動時間ゼロ」と「時間帯の自由度」です。

ドラム式乾燥機の場合、②で見た通り、タイパは最強クラスです。夜中にボタンを押せば、朝には乾いている。早朝でも気にせず回せる。拘束時間も実作業も最小です。「干す」「取り込む」という名もなき家事から解放される価値は、導入コスト(十数万円)を払う価値が十分にあると、多くの経験者が語ります。

**縦型(天日干し)**の場合、①の通りタイパは最悪に見えます。しかし、これは「今すぐ洗いたい(即時性)」というニーズには応えられます。例えば、子どもがジュースをこぼした、汚れた作業着を今すぐ洗いたい、といった突発的な事態に対応できるのは自宅洗濯機だけです。

3-4. 「あなたの時給」で考える洗濯コスト

ここで、多忙な社会人(ケース2)に戻ります。もしあなたがフリーランスや経営者で、自分の時給が明確なら、計算は簡単です。

(例)あなたの時給が3,000円だと仮定します。

  • 自宅(天日干し)を選んだ場合、あなたは週2回の洗濯で「干す・取り込む」作業に合計約1時間(※実際は週90分)を費やすとします。これは毎週約3,000円分以上のあなたの時間を「洗濯作業」に投入している計算です。
  • コインランドリー(洗濯乾燥)を選んだ場合、週2回(800円×2=1,600円)の出費で済みます。差額の1,400円以上と、浮いた1時間(で、さらに3,000円稼げるかもしれない時間)が手に入ります。
  • **自宅(ドラム式)**を選んだ場合、初期投資20万円は必要ですが、ランニングコストはほぼゼロ。毎週1時間(年52時間)の作業時間が浮くと考えれば、200,000円 ÷ 時給3,000円 = 約67時間。つまり、約1年3ヶ月でドラム式洗濯機の元が「時間」で取れる計算になります。

これは極端な例ですが、40代にもなれば「自分の時間を安売りしない」という感覚は重要です。コインランドリーの800円やドラム式乾燥機の20万円は、「自分の高価な時間」を買うための経費、と考えることができます。


第4章:「空間」と「クオリティ」という目に見えない価値

「時間」の次に、お金では測れない「空間」と「仕上がり」の価値を見ていきましょう。

4-1. コインランドリーが生み出す「空間」の価値

  • 省スペース: 洗濯機を置くスペース、物干し竿を置くベランダ、部屋干しする空間が不要になります。特に狭い都市部の住居では、その空間(1平米)の家賃は数千円に相当します。その空間を収納や趣味のスペースに使える価値は、想像以上に大きいものです。
  • 景観: 部屋干しの洗濯物がない生活は、精神衛生上も、来客時の見栄えも大きく改善します。

4-2. 自宅洗濯機が提供する「利便性」と「即時性」の価値

  • 利便性(いつでも): 早朝、深夜、台風の日でも、パジャマのままでも、外に出ることなく洗濯ができる。この「いつでもそこにある」という安心感は、自宅所有ならではです。
  • 即時性(すぐに): 前述の通り、突発的な洗濯ニーズ(嘔吐、粗相、こぼした)に即座に対応できるのは自宅洗濯機だけです。

4-3. プロの仕上がり(クオリティ)の価値

  • コインランドリー(高温ガス乾燥): 自宅では不可能な高温のガスパワーで一気に乾燥させます。タオルはホテルのように「ふかふか」になり、繊維が立ちます。
  • ダニ対策: この高温処理は、アレルギーの原因となるダニを死滅させる効果が非常に高いです。布団や毛布を洗う「大物洗い」においては、コインランドリーはコストではなく「健康維持のための投資」と言えます。

4-4. 比較表:メリット・デメリット一覧(改訂版)

比較項目自宅洗濯機(縦型)自宅洗濯機(ドラム式)コインランドリー
初期費用中(数万)高い(十数万〜)ゼロ
ランニングコスト◎(最安)○(安い)×(高い)
時間(タイパ)×(実作業が多い)◎(最強)△(移動・拘束時間次第)
時間(即時性)◎(最強)◎(最強)×(移動が必要)
時間(自由度)△(天候に依存)◎(24時間OK)△(営業時間・移動)
空間×(設置・物干し)×(設置場所)◎(不要)
仕上がり(乾燥)– (不可)△(機種による)◎(高温でふかふか)
大型洗濯×(困難)△(機種による)◎(専用機あり)

第5章:結論 – 40代の私が推奨する「これからの賢い洗濯スタイル」

ここまで「コスト」「ライフスタイル」「時間」「空間」「クオリティ」と、多角的に分析してきました。

「コインランドリーか、自宅洗濯機か」という二者択一で考える時代は、終わりました。

40代の私から、かつての自分や、今悩んでいる知人たちにアドバイスするなら、こう伝えます。

【長期滞在・ファミリー世帯へ】

「自宅洗濯機(できればドラム式乾燥機)をメインに、コインランドリーをサブ(大物用)として併用する」

これが、コスト、時間、手間のバランスが最も取れた最強のスタイルです。もしドラム式が高すぎるなら、5万円の縦型洗濯機+梅雨時だけコインランドリーの乾燥機(1回300円)という「ハイブリッド戦略」が現実的です。

【短期滞在・学生・ミニマリストへ】

「1年未満ならコインランドリー専業。1年以上なら(安い)洗濯機を購入する」

初期費用とランニングコストの損益分岐点(第2章参照)を冷静に見極めてください。引越しの手間もコストのうちです。

【多忙な社会人・タイパ重視者へ】

「『あなたの時給』と『コインランドリーへの距離』で判断してください」

第3章で分析した通り、あなたの時給が高いほど、またコインランドリーが近いほど、コインランドリー(あるいは自宅ドラム式乾燥機)を選ぶ経済的・時間的合理性が高まります。

あなたの「時間」という貴重な資産を、洗濯物を干す作業に使うのか、それとも800円で買い取るのか。それは、あなたにしか決められない価値判断です。

「所有」か「利用」か。あなたのライフスタイルと価値観に、最適な答えがあるはずです。この記事が、あなたの「洗濯」をより豊かにする一助となれば幸いです。


【免責事項】

  • 本記事に記載されている料金(電気代、水道代、コインランドリー利用料など)は、2025年現在の一般的な目安であり、お住まいの地域、契約プラン、使用する機器のモデルによって大きく異なる場合があります。
  • 本記事は、特定の製品の購入やサービスの利用を推奨するものではありません。洗濯機の購入やコインランドリーの利用に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。
  • 本記事は、特定の投資助言(洗濯機への投資など)を行うものではありません。

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