
こんにちは。
先日、久しぶりに会った友人とコーヒーを飲んでいたら、ふとこんな話になりました。「うちの保険、結婚したときのままなんだけど、正直今のままでいいのか全然分からなくて…」。
聞けば、子どもが生まれ、最近マイホームの購入も考え始めたとのこと。ライフステージが大きく変わったのに、保険は手付かず。彼のように、日々の忙しさにかまけて、つい後回しにしてしまいがちなのが「保険の見直し」ではないでしょうか。
私自身、40代になり、周りでも同じような悩みを抱えている人が本当に多いと感じます。かく言う私も、専門家ではありませんが、自身の経験や周りの話から、この問題の重要性を痛感してきました。
これは、難しい金融の話をしたいわけではありません。大切なのは、あなたの、そしてあなたの大切な家族の未来を守るための「お守り」を、今の状況に合わせて最適化しておくこと。
今回は、少しだけ先輩の知人として、「保険見直しのベストタイミングって、結局いつなの?」という疑問に、特に重要な3つのライフイベント「結婚」「出産」「住宅購入」に絞って、具体的に何をすべきか、分かりやすくお話ししていきたいと思います。
そもそも、なぜ「見直し」が必要なのか?
本題に入る前に、少しだけ。なぜ私たちは保険を見直す必要があるのでしょうか。答えはシンプルで、**「守るべきものの大きさや形が、人生のステージによって変わるから」**です。
独身時代は、自分一人の医療費や万が一の整理費用が賄えれば十分だったかもしれません。しかし、家族ができると、話は大きく変わります。
- パートナーの生活を守る責任
- 子どもの教育費や将来を守る責任
- 住宅ローンという大きな負債に対する責任
これらの責任の重さは、ライフステージが進むにつれてどんどん大きくなっていきます。10年前に買ったスーツが今の体型に合わなくなるように、保険もまた、あなたの「今」に合わせて仕立て直す必要があるのです。
「まだ若いから大丈夫」「面倒だからまた今度」…。その気持ち、とてもよく分かります。でも、本当に保障が必要になったときに「足りなかった…」と後悔するのだけは避けたい。そう思いませんか?
それでは、具体的な見直しのタイミングについて見ていきましょう。
タイミング1:【結婚】〜「自分ごと」から「ふたりごと」へ〜
結婚は、人生における最も大きな転機の一つです。保険に対する考え方も、「自分のため」から「パートナーと二人のため」へと大きくシフトさせる必要があります。
やるべきこと①:お互いの保険内容をオープンにする
まずは、お互いがどんな保険に、いくらくらい加入しているのかを共有することから始めましょう。これは、家計を一つにする上での第一歩でもあります。
- 保険の種類は?(死亡保険、医療保険、がん保険など)
- 保障額はいくらか?
- 保険料は月々いくら払っているか?
- 受取人は誰になっているか?
特に確認したいのが**「死亡保険金の受取人」**です。独身時代に親を受取人に指定しているケースがほとんどのはず。これを機に、パートナーへ変更する手続きを忘れないようにしましょう。法的な婚姻関係にないと受取人に指定できない場合もあるため、事実婚や内縁関係の方は特に注意が必要です。
やるべきこと②:「万が一」の保障を考える
次に考えるべきは、もしどちらかに万が一のことがあった場合、残されたパートナーが経済的に困窮しないか、という視点です。
共働きか、片働きかによって必要な保障額は変わります。
- 共働きの場合: お互いの収入で生計を立てているなら、どちらかが亡くなった場合に収入が半減し、生活水準を維持できなくなる可能性があります。遺されたパートナーが生活を立て直すまでの期間(例えば3〜5年分)の生活費や、葬儀費用などをカバーできる程度の死亡保障を検討すると良いでしょう。
- 片働きの場合: 収入を担っている方に万が一のことがあれば、家計への影響は甚大です。遺されたパートナーの生活費、住居費などを長期的にカバーできる、より手厚い死亡保障が必要になります。
このタイミングで、高額な終身保険にこだわる必要はありません。一定期間だけ手厚い保障が得られる「定期保険」や、収入保障に特化した「収入保障保険」などを活用すれば、保険料を抑えながら合理的な備えができます。
やるべきこと③:医療保障の重複をチェック
お互いに医療保険に加入している場合、保障内容が重複していないか確認しましょう。例えば、夫婦ともに手厚い入院保障や先進医療特約を付けている場合、少しスリム化できるかもしれません。
もちろん、保障は手厚い方が安心ですが、その分保険料もかさみます。お互いの会社の福利厚生(高額療Goinn制度の付加給付など)も確認し、二人にとって最適な保障のバランスを見つけることが大切です。
タイミング2:【出産】〜守るべき宝ものが増えたとき〜
子どもの誕生は、何にも代えがたい喜びであると同時に、親としての責任がずしりと肩に乗る瞬間でもあります。保険の見直しは、まさに「待ったなし」のタイミングと言えるでしょう。
やるべきこと①:死亡保障額を大幅に増やす
考えるべきは、**「自分に万が一のことがあった場合、この子が経済的に困ることなく、望む進路に進めるだけのお金を遺せるか?」**という一点に尽きます。
一般的に、子ども一人が独立するまでにかかる養育費や教育費は、すべて国公立のルートを進んだ場合でも1,000万円以上、すべて私立となると3,000万円近くなるケースも珍しくありません。 進路によって大きく変動するため、ご自身の家庭ではどのくらいの費用を見込むか、一度シミュレーションしてみることが重要です。
- 現在の貯蓄はいくらか?
- パートナーの収入は?
- 国からの遺族年金はいくらくらい見込めるか?
これらを差し引いて、不足する金額を死亡保険でカバーするのが基本的な考え方です。特に、子どもが小さい間は、最も大きな保障が必要になります。この時期の保障を手厚くするために、前述の「収入保障保険」は非常に有効な選択肢です。毎月お給料のように定額が支払われるため、遺された家族の生活設計が立てやすいというメリットがあります。
やるべきこと②:子どもの医療費に備える
子どもは、突然熱を出したり、思わぬ怪我をしたりするものです。幸い、多くの自治体では子どもの医療費助成制度が充実しているため、窓口での自己負担は数百円、あるいは無料というケースがほとんどです。
そのため、過度な子どもの医療保険は不要かもしれません。ただし、
- 入院時の差額ベッド代や食事代
- 親が付き添うための交通費や雑費
- 先進医療など、公的保険適用外の治療
といった、助成制度ではカバーしきれない出費に備えたい場合は、月々1,000円〜2,000円程度の掛け捨ての医療保険や共済を検討するのも一つの手です。
やるべきこと③:教育資金の準備を始める(学資保険だけが選択肢じゃない)
子どもの将来のために、計画的に教育資金を準備したいと考えるのは親として当然の気持ちです。その代表的な手段が「学資保険」です。
学資保険は、満期時にまとまったお金が受け取れるだけでなく、契約者である親に万が一のことがあった場合、その後の保険料の支払いが免除されるという保障機能が付いているのが大きな特徴です。
ただし、近年は低金利の影響で、かつてほど貯蓄性が高くない(払った保険料総額と、受け取る満期金額がほぼ同じか、少し下回る「元本割れ」のリスクもある)という側面も。
教育資金の準備方法は、学資保険だけではありません。より詳しい情報が知りたい方は、公的な機関や信頼できる金融機関のウェブサイトで「教育資金 準備方法」などと検索し、複数の選択肢を比較検討してみることをお勧めします。
- 低解約返戻金型終身保険: 保険料の払込期間中の解約返戻金を低く抑える代わりに、払込満了後の返戻率を高めた保険。払込期間を子どもの大学進学時期に合わせることで、学資保険のように活用できます。
- つみたてNISAなどの投資信託: 貯蓄性だけでなく、積極的にお金を増やしたいと考えるなら、非課税制度を活用した積立投資も有力な選択肢です。ただし、元本保証ではないリスクも理解しておく必要があります。
ご家庭の教育方針やリスク許容度に合わせて、最適な準備方法を検討しましょう。
タイミング3:【住宅購入】〜最大の買い物と「団信」の関係〜
住宅ローンを組んでマイホームを購入する。これは、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。そして、このタイミングでの保険見直しは、家計のスリム化に直結する重要なポイントを含んでいます。
やるべきこと①:「団体信用生命保険(団信)」の内容を必ず確認する
ほとんどの住宅ローンでは、「団体信用生命保険(団信)」への加入が義務付けられています。これは、ローン契約者に万が一のことがあった場合、保険金で残りのローンが全額返済されるという仕組みです。
つまり、団信に加入するということは、数千万円の死亡保障に加入するのと同じ効果があるのです。
これまで、家族の住居費をカバーするために高額な死亡保険に加入していた方は、この団信による保障と内容が重複している可能性があります。
やるべきこと②:死亡保障の「重複」を整理する
団信に加入したら、これまで加入していた死亡保険の保障額を見直しましょう。住居費分の保障は団信が担ってくれるわけですから、その分、保険料を削減できる可能性が非常に高いのです。
例えば、これまで「遺された家族の生活費+住居費」として5,000万円の死亡保障に入っていたとします。住宅購入後は、「遺された家族の生活費」だけをカバーすれば良くなるため、保障額を3,000万円に減額するといった見直しが考えられます。
削減できた保険料を、教育資金の積立や、がん・三大疾病といった「生きるためのリスク」に備える保障の充実に回すなど、より戦略的な家計運営が可能になります。
やるべきこと③:団信の保障範囲を確認し、不足を補う
近年、団信の保障範囲は多様化しています。死亡・高度障害だけでなく、
- がん保障特約(がんと診断されたらローン残高がゼロに)
- 三大疾病保障特約(がん・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になったらゼロに)
- 全疾病保障(病気やケガで働けない状態が続いたら返済をサポート)
といった手厚い保障が付いた団信もあります(多くは金利が上乗せされます)。 ご自身が加入した団信の保障範囲をしっかりと確認し、それでも不足すると感じる部分(例えば、がんの保障はもっと手厚くしたいなど)があれば、別途、民間の保険で補うという考え方が合理的です。
まとめ:見直しは、未来の家族へのラブレター
結婚、出産、住宅購入。人生の喜びに満ちたこれらのイベントは、同時に、あなたの責任が大きく変化するタイミングでもあります。
保険の見直しは、決して「やらなければいけない面倒な義務」ではありません。それは、変化したあなたの環境と責任に合わせて、大切な家族を守るための「お守り」を最新の状態にアップデートする作業です。
それは、未来の家族へ宛てた、愛情のこもった「ラブレター」のようなものかもしれません。
この記事を読んで、「あ、うちもそろそろかも」と感じたなら、まずはクローゼ-ットの奥に眠っている保険証券を、夫婦で一緒に眺めてみることから始めてみませんか?
それが、あなたの家族の未来を守る、大きな一歩になるはずです。
免責事項
本記事は、保険に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の販売や勧誘を目的とするものではありません。 記事内で紹介している保険商品や制度については、執筆時点(2025年10月)の情報に基づいています。最新の情報とは異なる場合があるため、詳細は各保険会社や公的機関のウェブサイト等でご確認ください。 保険の加入や見直しに関する最終的なご判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談されることをお勧めします。
