行政書士への道:憲法・人権編 第4回「人身の自由」を徹底解説!

生成AIで作成。

皆さん、こんにちは!行政書士の勉強、憲法の人権分野もいよいよ佳境です。

前回は経済的自由権について学びましたが、今回は私たちの日常生活に最も密接に関わり、国家権力からの介入を厳しく制限する**「人身の自由」**について、詳しく掘り下げていきたいと思います。行政書士試験でも頻出のテーマであり、その背景には戦前の人権侵害への反省があることも理解しながら学習を進めましょう。

1. 「人身の自由」とは?私たちの身体を守る盾

**「人身の自由」**とは、簡単に言えば、国家権力によって私たちの身体が不当に拘束されたり、行動が制限されたりしない自由のことです。これは、個人の尊厳を守る上で極めて重要な権利であり、日本国憲法では特に第3章で、その詳細な保障が定められています。

戦前の日本では、国家が個人の身体の自由を簡単に奪うことができました。その反省から、現在の憲法では、私たちの身体の自由を守るための緻密なルールが設けられているのです。

2. 人身の自由を保障する憲法の主な規定

憲法が定める人身の自由に関する重要な条文を見ていきましょう。

2-1. 奴隷的拘束及び意に反する苦役からの自由(憲法第18条)

この条文は、人間の尊厳を根底から否定するような極端な身体拘束を禁じています。

  • 「奴隷的拘束」: 人身売買のように、人間としての権利や自由が完全に否定されるような状態のことです。これは、たとえ犯罪による処罰であっても絶対に禁止されます。
  • 「意に反する苦役」: 本人の意思に反して強制される労働を広く指します。ただし、犯罪による懲役刑などは例外として認められています。刑法における懲役刑は、この憲法規定を受けて定められています。

2-2. 適正手続の保障(憲法第31条)

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われたり、その他の刑罰を科せられたりすることはない。

この条文は、国家が私たちを逮捕したり、刑罰を科したりする際には、必ず国会が定めた法律に基づく、適正な手続きを踏まなければならないということを定めています。恣意的な逮捕や刑罰の適用を防ぐための、まさに最後の砦と言える規定です。

「単に法律があればいい」というわけではなく、その手続きの内容自体も公正でなければならないと解釈されています。また、この条項は、憲法に具体的に書かれていないその他の刑事上の人権(例えば、黙秘権など)を補完的に保障する役割も果たしています。

2-3. 令状主義及び不法な逮捕からの自由(憲法第33条)

これは、私たちを逮捕する際には、原則として裁判所が発する令状が必要である、という「令状主義」を定めたものです。捜査機関が勝手に逮捕するのを防ぎ、私たちの身体の自由を守るための重要なルールです。

ただし、現行犯逮捕の場合は、犯罪が目の前で行われていることが明白で、緊急性があるため、令状なしでの逮捕が例外的に認められています。

2-4. 不法な抑留・拘禁からの自由及び弁護人依頼権(憲法第34条)

逮捕された私たちを、不当に長く留め置くことを防ぐための規定です。

抑留」は一時的な身体拘束、「拘禁」はより継続的な身体拘束を指します。逮捕・勾留された場合、私たちは直ちにその理由を告げられる権利があり、そして直ちに弁護人に依頼する権利が与えられなければなりません。もし弁護人がいなければ、国が弁護人をつけてくれる「国選弁護人」制度もあります(憲法第37条第3項)。

また、私たちが拘禁された場合には、その正当な理由を、私たち本人と弁護人が出席する公開の法廷で示されなければならないとされています。

2-5. 住居、書類及び所持品の不可侵(憲法第35条)

私たちの生活の場である住居や、プライベートな書類、持ち物について、裁判所が発する令状がなければ、国家が勝手に侵入したり、捜索したり、押収したりできないと定めています。これは、私たちのプライバシーを守るための非常に重要な規定です。どこを捜索・押収するか特定しない「一般令状」は禁止されています。

この原則にも例外があり、憲法第33条の現行犯逮捕の場合など、適法な逮捕が行われる際には、令状なしで住居への侵入や物品の押収が認められることがあります。

近年では、GPS捜査に関する最高裁判例が注目されました。GPS端末の設置による位置情報の継続的な把握は、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、特別な根拠規定と令状がなければ許されない「強制処分」にあたると判断されました。これは、新しい捜査手法が人身の自由やプライバシーを侵害する可能性に対し、憲法が適用された重要な判例と言えます。

2-6. 拷問及び残虐な刑罰の禁止(憲法第36条)

公務員による拷問や残虐な刑罰は、絶対に禁止されます。これは、人間の尊厳を根本から守るための、極めて強い禁止規定です。

2-7. 刑事被告人の権利(憲法第37条、第38条)

犯罪の容疑をかけられた人(刑事被告人)が、公正な裁判を受けるための様々な権利が保障されています。

  • 公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利
  • 証人審問権、証人喚問権:自分に不利な証人に対して反論したり、自分に有利な証人を裁判所に呼んでもらったりする権利。
  • 弁護人依頼権:専門家である弁護人に弁護を依頼する権利。
  • 不当な供述の強要からの自由:自分に不利益なことを無理やり言わされない権利(黙秘権)。
  • 自白の証拠能力制限:強制されたり、拷問されたり、不当に長く拘束された後の自白は、証拠として認められない。

2-8. 事後法の禁止及び一事不再理(憲法第39条)

  • 事後法の禁止/遡及処罰の禁止:犯罪が行われた時点では合法だった行為を、後からできた法律で罰することはできない。
  • 二重の危険の禁止/一事不再理の原則:一度無罪になった犯罪について、再度刑事上の責任を問われることはない。

2-9. 刑事補償請求権(憲法第40条)

もし、逮捕された後、無罪になった場合には、その間の身体拘束による損失を国に補償してもらう権利が保障されています。

3. 行政書士と人身の自由、そして「適正手続」の重要性

刑事訴訟においては、これらの憲法で定められた手続きが守られない場合、たとえ実際に犯罪を犯した者がいたとしても、手続きの違法性によって無罪判決が下されたり、証拠が使えなくなったりする可能性があります。これは、「適正な手続きによって得られた証拠でなければ、たとえ真実であっても認めない」という、国家権力の暴走を許さないという司法の強い意思に基づいています。

違法な捜査によって収集された証拠の証拠能力を否定する「違法収集証拠排除法則」も、この適正な手続きを確保するための重要なルールです。

行政書士は、国民の権利利益の実現やその侵害防止に努める専門家です。例えば、外国人の在留資格申請などの国際業務では、人身の自由にも関わる非常にデリケートな手続きを扱います。

また、行政による強制的な手段として「行政代執行」などもありますが、これは義務の履行を強制するものであり、刑罰を科す刑事手続きとは異なります。行政書士自身がもし逮捕された場合でも、逮捕や勾留だけで直ちに資格を失うわけではありません。禁錮以上の刑が確定した場合に資格剥奪の可能性が生じるため、その際も刑事手続き上の権利を行使することが非常に重要になります。


本日のまとめ

  • 人身の自由は、国家権力から私たちの身体と行動の自由を守る権利。
  • 憲法には、奴隷的拘束の禁止、適正手続の保障、令状主義、不法な抑留・拘禁からの自由、住居等の不可侵、拷問の禁止、刑事被告人の権利など、多岐にわたる保障規定がある。
  • **「適正手続の保障」**は、国家の恣意的な刑罰適用を防ぐ上で極めて重要。
  • 行政書士は、国民の権利利益を守る専門家として、これらの人権、特に適正な手続きの重要性を深く理解しておく必要がある。

今回は「人身の自由」について掘り下げてみました。行政書士試験の憲法では、これらの条文の知識はもちろん、それぞれの判例や具体例と結びつけて理解することが不可欠です。私もGeminiのNotebookLM機能を活用して、判例集とテキストを紐付けながら、知識の定着を図っています!

次回は、人権のその他の側面や、具体的な判例の読み方などについて触れていければと思います。

引き続き、行政書士試験合格に向けて頑張りましょう!

快適な住まいや生活環境をより便利にするため、住まいの悩み解決に役立つ お役立ち情報を紹介するWEBサイトを紹介します。

ハウスケアラボ

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です