行政書士への道:憲法・統治機構編 第3回「国会の多様な権能」を理解する!


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前回は、衆議院と参議院の関係性、特に**「衆議院の優越」について詳しく掘り下げました。今回は、国会が持つ非常に多様な「権能」**に焦点を当てていきたいと思います。国会が単に法律を作るだけでなく、いかに国の政治の中心として機能しているかを理解することは、行政書士として国や地方公共団体と関わる上で不可欠な知識です。

1. 国会の基本的な地位の再確認

日本国憲法において、国会は**「国権の最高機関」であり、かつ「国の唯一の立法機関」**と定められています。この二つの重要な地位が、国会に多様な権能を与える根拠となっています。国会は、国民の代表として、国の様々な意思決定の中心を担っているのです。

それでは、国会の主な権能を一つずつ見ていきましょう。

2. 国会の主要な権能

2-1. 立法権(法律の制定)

これは国会の最も基本的な権能です。国会は「国の唯一の立法機関」であるため、法律は国会だけが制定し、その議決だけで確定します。

この原則は、行政機関が独自に法律を作る「立法二元制」を廃止し、**「立法一元制」**を採用していることを意味します。つまり、行政が作れるのは、法律の執行に必要な細則や、法律の委任に基づいた命令などに限られるということです。

法律案は、内閣または国会議員が作成・提出し、衆議院と参議院の両議院での審議を経て成立します。

2-2. 財政監督権(予算の議決と決算の審議)

国民が納めた税金がどのように使われるかは、国会がしっかりとチェックしなければなりません。

  • 予算の議決: 国の予算は内閣が作成しますが、国会の議決がなければ使用できません。国会は、内閣が提出する毎会計年度の予算案を慎重に審議し、国民生活に役立つ支出かどうかを検討した上で、議決を行います。
  • 決算の審議: 国会は、翌年度に内閣から報告される決算を審議し、前年度の予算が正しく執行されたかを確認します。

2-3. 条約承認権

内閣が外国と条約を締結する際には、原則として国会の承認を得る必要があります(憲法第73条第3号)。これは、明治憲法下で天皇の専権とされ、議会が関与できなかった条約締結に対し、民主的な統制を強化するために設けられたものです。国の重要な対外関係にも、国民の意思が反映されるようになっています。

2-4. 内閣総理大臣の指名権

内閣総理大臣は、国会が国会議員の中から指名します。そして、その指名に基づいて天皇が正式に任命します。

前回学んだように、衆議院と参議院の指名が一致しない場合や、参議院が10日以内に議決しない場合は、**衆議院の議決が国会の議決となる(衆議院の優越)**点が重要です。

2-5. 憲法改正の発議

日本国憲法を改正するには、まず各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が改正案を発議しなければなりません。国会が発議した後、最終的には国民投票によって承認されなければ、憲法改正は成立しません。憲法改正は、通常の法律の改正よりもはるかに厳格な手続きが定められています。

2-6. 国政調査権

衆議院と参議院の両院には、**国政全般について調査する権限(国政調査権)**が与えられています。これは、政府からの説明聴取、委員の派遣による調査、証人の喚問、記録の提出要求など、多岐にわたる手段で行われます。この権能は、国会が持つ他の立法や財政監督などの権能を有効に行使するために必要な、派生的・補助的な権能と解釈されることが多いです。

2-7. 裁判官弾劾裁判所の設置

国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する裁判官弾劾裁判所を設けます(憲法第64条)。この裁判所は、職務を適切に行わない裁判官を罷免するかどうかを決定します。これは、司法の独立性を保ちつつ、裁判官の職責を問う重要な制度です。

2-8. 衆議院の内閣不信任決議権

衆議院にのみ、内閣に対して信任・不信任の決議を行う権限が認められています(憲法第69条)。内閣不信任決議案が可決されたり、内閣信任決議案が否決されたりした場合、内閣は衆議院を解散しない限り、総辞職しなければなりません。これは、衆議院が内閣をチェックする非常に強力な権限です。

2-9. 請願の審議

各議院は、国民からの請願を審議する権能も有しています。これは、国民が国や地方公共団体に意見や要望を伝える「請願権」が、国会で具体的に審議されることを意味します。

2-10. 参議院の緊急集会

衆議院が解散され、国会が閉会中に国に緊急の必要がある場合、内閣の求めに応じて参議院が国会の権能を**暫定的に代行する「緊急集会」**を開催できます。ただし、緊急集会で取られた措置は「臨時のもの」とされ、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意を得なければ効力を失います。これは、衆議院が解散中でも、国政の空白を避けるための重要な制度です。

3. 行政書士と国会の権能の知識

行政書士として、国会がこれほど多岐にわたる権能を持っていることを理解することは、非常に重要です。例えば、新しい法律が成立するプロセスを把握することで、クライアントの事業に影響を与える可能性のある法改正に対応したり、請願書の作成支援を行ったりするなど、様々な場面で役立ちます。

私もGeminiのNotebookLM機能を活用し、国会の各権能と、それに関連する具体的な法律や判例を紐付けながら、知識を体系的に整理しています。


本日のまとめ

  • 国会は「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」。
  • 国会の主な権能は、立法権、財政監督権、条約承認権、内閣総理大臣の指名権、憲法改正の発議、国政調査権、裁判官弾劾裁判所の設置、衆議院の内閣不信任決議権、請願の審議、参議院の緊急集会など、非常に多岐にわたる。
  • 特に、法律の制定プロセス、予算・決算、条約の承認、内閣総理大臣の指名、憲法改正の発議、国政調査権は重要。
  • 参議院の緊急集会は、衆議院解散中の国政の空白を埋めるための臨時措置であり、衆議院の同意が必要。

今回は、国会の多様な権能について詳しく見てきました。国会の働きを知ることは、国の政治全体を理解する上で不可欠です。

次回は、統治機構のもう一つの柱である「内閣」について掘り下げていきたいと思います。

引き続き、行政書士試験合格に向けて頑張りましょう!

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