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皆さん、こんにちは!行政書士の勉強、着実に進めていきましょう。 前回は、日本の行政のトップである「内閣の地位と組織」について学びました。今回はその続きとして、内閣が具体的にどのような力、すなわち**「権能」**を持っているのかを詳しく掘り下げていきます。
内閣の権能は、国の行政を動かすためのエンジンそのものです。行政書士試験でも頻出の重要ポイントですので、一つひとつ正確に理解していきましょう。
1. 行政権の主体としての職務
まず、内閣の最も基本的な役割から見ていきます。日本国憲法第65条により、内閣は国の行政権の主体と定められています。その職務は非常に多岐にわたりますが、主なものは以下の通りです。
- 法律の忠実な執行と国務の総理 国会で定められた法律を、国民生活の隅々まで行き渡らせるために忠実に執行し、国の一般的な行政事務全体を管理します。
- 外交関係の処理と条約の締結 外国との交渉や関係処理を行います。また、国と国との約束である条約を締結する権限も持ちます。ただし、この権限を民主的にコントロールするため、条約の締結には原則として国会の承認が必要です。
- 予算の作成と国会への提出 国の1年間の収入と支出の計画である予算を作成し、国会に提出してその議決(承認)を得なければなりません。予算は、政府がどのような政策にお金を使うかを示す重要な計画書です。
- 政令の制定 憲法や法律の規定を実施するために、内閣は政令というルールを制定することができます。これは、法律をよりスムーズに運用するための詳細な規則です。ただし、以下の重要な制約があります。
- 法律の委任がなければ、国民の権利を制限したり、義務を課したりすることはできない。
- 法律の根拠がなければ、罰則を設けることはできない。
- 高級官僚の人事 各省庁の事務次官や局長といった、行政の実務を動かす幹部職員の人事権を持ち、行政組織全体を管理します。
2. 国会との関係における職務(議院内閣制)
日本は議院内閣制を採用しており、内閣は国会に対して責任を負います。そのため、国会との関係における権能も非常に重要です。
- 議案の提出 内閣は、法律案や予算案などの議案を国会に提出する権限を持っています。現在、国会で成立する法律案の大部分は、この内閣提出法案(閣法)です。
- 国会への報告・出席 一般国務や外交関係について国会に報告します。また、総理大臣や国務大臣は、議案について説明するためにいつでも議院に出席できますし、逆に国会から出席を求められた場合は、出席する義務があります。
- 衆議院の解散または内閣総辞職 衆議院で内閣不信任案が可決されたり、信任案が否決されたりした場合、内閣は以下のどちらかを選択しなければなりません。
- 10日以内に衆議院を解散する
- 内閣総辞職する なお、総辞職した場合でも、新しい内閣総理大臣が任命されるまでは、引き続き職務を行います(職務執行内閣)。
3. 内閣総理大臣の特別な権能
内閣は「合議体」ですが、そのトップである内閣総理大臣には、内閣の一体性を確保し、リーダーシップを発揮するための特別な権能が与えられています。
- 国務大臣の任免権 総理大臣は、国務大臣を任命し、またいつでも任意に罷免することができます。これは閣議にかける必要のない首相固有の権限であり、自らの政策を実現するための強力な武器となります。
- 行政各部の指揮監督 原則として閣議で決定された方針に基づき、内閣を代表して各省庁を指揮監督します。
- 法律・政令への連署 成立した法律や制定された政令には、担当の国務大臣(主任の大臣)が署名し、内閣総理大臣が連署します。これは、その法律や政令の執行責任の所在を明確にするためのものです。
- 国務大臣の訴追に対する同意権 国務大臣が在任中に刑事裁判にかけられる(訴追される)には、内閣総理大臣の同意が必要です。これは、内閣の一体性を守るための規定です。
4. 司法・天皇・その他の重要な権能
内閣の権能は、行政分野にとどまりません。
- 天皇の国事行為に対する助言と承認 天皇が行う国事行為(例:国会の召集、法律の公布など)には、すべて内閣の助言と承認が必要であり、内閣がその責任を負います。
- 最高裁判所長官の指名と裁判官の任命 司法のトップである最高裁判所長官を指名し(任命は天皇)、その他の最高裁判所裁判官を任命します。
- 恩赦の決定 犯罪者の刑を軽くしたり、失った資格を回復させたりする恩赦を決定する権能を持ちます。
- 自衛隊の統制 国の防衛を担う自衛隊を統制し、運用します。
5. 内閣機能を支える仕組み
これらの多様な権能を適切に行使するため、内閣は専門的な機関によって支えられています。特に内閣法制局は、内閣が提出する法案や政令が憲法や他の法律に違反していないかを審査する重要な役割を担い、「内閣の法律顧問」とも呼ばれています。
本日のまとめ
- 内閣は行政権の主体として、法律の執行、外交、予算作成、政令制定などを行う。
- 議院内閣制の下、国会に議案を提出し、連帯して責任を負う。衆議院の解散権も持つ。
- 内閣総理大臣は、国務大臣の任免権など、強力なリーダーシップを発揮するための権能を持つ。
- 行政だけでなく、司法(裁判官の任命)や天皇の国事行為にも深く関与する。
今回は、内閣が持つ具体的な権能について学びました。これで統治機構の二大柱である「国会」と「内閣」の全体像が見えてきたのではないでしょうか。
次回は、三権の最後の一つ、「司法権」を担う**「裁判所」**について学んでいきます。
引き続き、行政書士試験合格に向けて頑張りましょう!