【脱・探し物地獄】AIがファイル名を自動提案!月額費用ゼロ、コピペで動くGoogleドライブ超整理術

【序章】あなたの時間は「ファイル探し」に、年間何時間奪われていますか?

「あれ、去年のA社宛の見積書、どこに保存したっけ…?」 「たしか、”最終版”って名前のファイルが5つあるな…どれが本当の最終版なんだ?」

あなたのパソコンのデスクトップやダウンロードフォルダは、いつの間にか現れた「名称未設定」や「スキャン_20250805」といった、謎のファイル群に占領されてはいないでしょうか。

若い頃は、鋭い記憶力と気合でなんとか乗り切れたかもしれません。しかし、40代に差し掛かり、役職が上がったり、家庭を持ったりと、扱うべき情報の種類と量は爆発的に増えていきます。もはや、記憶力だけに頼ったファイル管理は限界です。

「ファイルを探す時間」――。 1回あたりは、たったの5分かもしれません。しかし、その5分が1日に3回あれば15分。1ヶ月で約7.5時間。年間にすれば、なんと90時間にもなります。これは、フルタイムの労働日に換算すると11日分以上。私たちは知らず知らずのうちに、これだけの貴重な時間を、ただ「探す」という非生産的な行為に溶かしているのです。

これは、単なる「整理整頓が苦手」という話ではありません。あなたの貴重な時間を守り、本来集中すべき仕事や、家族と過ごす豊かな時間を確保するための、切実な**「時間防衛術」**なのです。この記事では、そのための強力な武器を、あなた自身の手で作り上げる方法をご紹介します。

【第1章】なぜ、私たちのGoogleドライブはカオスになるのか?

そもそも、なぜ意識しているはずなのに、デジタルデータの置き場所は、まるで散らかった部屋のようにカオスと化してしまうのでしょうか。原因は、私たちの「ズボラさ」だけではありません。現代のワークスタイルに潜む、構造的な問題なのです。

原因1:親切心のない「自動命名」 スマホのスキャナアプリやオフィスの複合機は非常に便利ですが、取り込んだ書類には「Scanned_20250805.pdf」や「image_12345.jpg」といった、中身が全く分からない無機質な名前を自動で付けてくれます。これが、カオスの第一歩です。

原因2:チームで揺らぐ「命名規則」 複数人でファイルを共有するプロジェクトでは、悲劇が起こりがちです。「【重要】」「(重要)」「★重要★」…。人によって微妙に異なるルールが乱立し、検索性を著しく低下させます。「A社_見積書_20251020.pdf」というルールを決めても、いつの間にか「見積書(A社).pdf」のような亜種が生まれ、フォルダの秩序は崩壊していきます。

原因3:「後でやろう」という心の罠 「とりあえずデスクトップに保存しておこう」「あとでちゃんとリネームしよう」。この「後で」は、残念ながら永遠にやってきません。日々の業務に追われる中で、名もなきファイルは次々と積み重なり、やがて整理する気力さえ奪う巨大な「デジタル負債」となるのです。

このカオスな状態は、私たちの知らないうちに、深刻な**「3つの損失」**をもたらしています。

  1. 時間の損失: 前述の通り、年間90時間もの時間を浪費します。見つからずに、資料をゼロから作り直す徒労感は、計り知れません。
  2. 信用の損失: チームメンバーや取引先から「あのファイル、急ぎでいただけますか?」と言われた時、即座に提出できますか?「えーっと、少々お待ちください…」が続けば、「仕事ができない人」という不本意なレッテルを貼られかねません。スピードが価値を持つ現代において、これは致命的な機会損失です。
  3. 精神的な損失: 整理されていないフォルダが常に視界に入ることは、無意識のストレスを生み出します。これは、割れた窓ガラスを放置すると、街全体の治安が悪化するという「割れ窓理論」のデジタル版です。常に頭の片隅に「片付けなければ…」というタスクが居座り、あなたの集中力を静かに蝕んでいくのです。

【第2章】解決策は「AI」と「GAS」。月額費用ゼロの”あなた専用ツール”

「ならば、高機能なファイル整理アプリを使えばいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、多機能すぎて使いこなせなかったり、毎月数千円のコストがかかったり、あるいは会社のセキュリティポリシーで外部ツールの利用が禁止されていたり…と、意外とハードルは高いものです。

そこで、私たちが提案したいのが、あなたのGoogleアカウントに標準装備されている**「AI(Gemini)」「GAS(Google Apps Script)」**という2つの武器です。

  • AI (Gemini) : あなたの「賢い秘書」 Googleが開発した最新のAIです。あなたが「こんなファイル名にしてほしい」というルールと、ファイルの中身を教えるだけで、人間が最も理解しやすいファイル名を、瞬時に、しかも大量に提案してくれます。面倒な命名規則を考える手間から、あなたを解放してくれる存在です。
  • GAS (Google Apps Script) : あなたの「勤勉な執事」 GoogleスプレッドシートやGmail、そしてGoogleドライブなどを、簡単なプログラムで自動操作できる機能です。名前は少し難しそうですが、実態は「Google版マクロ」のようなもの。Googleアカウントさえあれば完全無料で使え、あなたの代わりに単純作業を黙々とこなしてくれます。

この「AI + GAS」という組み合わせが、市販のツールをも凌駕する**「最強」の整理術**である理由は3つあります。

  1. 完全無料、追加投資ゼロ: 必要なのは、今あなたが持っているGoogleアカウントだけ。新しいソフトのインストールも、クレジットカードの登録も一切不要です。
  2. カスタマイズは無限大: 「請求書は『請求書_日付_取引先名』に」「議事録は『YYYYMMDD_会議名_議事録』に」といった、あなただけの“黄金ルール”をAIに覚えさせ、世界に一つだけの最強ツールへと育て上げることができます。
  3. 未来的で、何より楽しい!: AIと対話し、まるで魔法の呪文のようなコードをコピペするだけで、目の前のファイルが一瞬で整理されていく…。このプロセスは、退屈な作業とは無縁の、知的な興奮と達成感に満ちています。40代からの「学び直し」や「リスキリング」の第一歩として、これほど面白く、実用的なテーマはないでしょう。

【第3章】コピペでOK!3ステップで作る「ファイル名一括変更ツール」実践ガイド

お待たせしました。いよいよ、あなた専用のツールを作成していきましょう。 「プログラミングなんてやったことない…」という方も、全く問題ありません。この記事では、画面のキャプチャ画像を頭に思い浮かべながら読めるように、クリックする場所からコードの貼り付け方まで、一つひとつ丁寧にご案内します。必要なのは、マウスの「コピー&ペースト」だけです。

Step 1:AI(Gemini)に新しいファイル名を考えてもらう

まずは、AI秘書に「どんなファイル名にしたいか」を伝え、名付けの作業を丸投げします。

  1. ファイル名の一覧を用意する Googleドライブで、名前を変更したいファイルがあるフォルダを開き、ファイル名の一覧をコピーして、メモ帳やスプレッドシートに貼り付けておきましょう。
  2. AI(Gemini)に「プロンプト(命令文)」を入力するGeminiの公式サイトにアクセスし、以下の**魔法の呪文(プロンプト)**をコピーして、入力欄に貼り付けてください。
ファイル名を分かりやすく変更したいです。以下のルールと情報に基づいて、新しいファイル名を提案してください。

# ルール:
- 「種類」+「日付や関連情報」+「.pdf」の形を基本とします。
- 日付は「YYYYMMDD」の形式に統一してください。
- ファイルの種類が明確な場合は、それをファイル名の先頭に付けてください。(例:請求書、議事録、健康診断結果など)

# 元のファイル名と内容:
- 旧: スキャン_20250727-2343.pdf (内容: 2025年6月20日の健康診断の結果です)
- 旧: Scanned_doc_08.pdf (内容: 株式会社ABC商事への、2025年7月15日付の見積書です)
- 旧: meeting_memo.pdf (内容: 2025年8月5日の定例会議の議事録です)

# 出力形式:
旧ファイル名,新ファイル名
(例: スキャン_20250727-2343.pdf,健康診断結果_20250620.pdf)
  • AIの回答をコピーする Geminiは、あなたの指示に従い、以下のような回答を返してくれます。
    1. スキャン_20250727-2343.pdf,健康診断結果_20250620.pdf Scanned_doc_08.pdf,見積書_20250715_株式会社ABC商事.pdf meeting_memo.pdf,議事録_20250805_定例会議.pdf

Step 2:GASで「魔法のボタン」を作る

次に、勤勉な執事(GAS)に、作業をしてもらうための環境を整えます。

  1. 新しいGoogleスプレッドシートを開く こちらから、新しいシートを作成します。
  2. スクリプトエディタを開く 上部のメニューから**「拡張機能」** → 「Apps Script」 を選択します。すると、新しいタブでコードを入力するための画面(スクリプトエディタ)が開きます。
  3. コードを貼り付ける エディタ画面に最初から書かれている function myFunction() { … } という文字をすべて選択して削除してください。そして、以下のコードをそのまま、すべてコピーして、空になったエディタ画面に貼り付けます。
/**
 * スプレッドシートを開いた時にカスタムメニューを追加します。
 */
function onOpen() {
  SpreadsheetApp.getUi()
      .createMenu('ファイル名変更ツール')
      .addItem('シートを準備する', 'createSheetAndFormat')
      .addSeparator()
      .addItem('ファイル名を一括変更', 'renameFilesFromSheet')
      .addToUi();
}

/**
 * 「表」という名前のシートを作成し、ヘッダー、記入例、書式を設定します。
 */
function createSheetAndFormat() {
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  const sheetName = "表";
  let sheet = spreadsheet.getSheetByName(sheetName);

  if (!sheet) {
    sheet = spreadsheet.insertSheet(sheetName, 0);
  }

  spreadsheet.setActiveSheet(sheet);
  sheet.clear();

  const headers = ["変更前ファイル名", "変更後ファイル名", "処理結果"];
  const headerRange = sheet.getRange(1, 1, 1, headers.length);
  headerRange.setValues([headers]);
  headerRange.setFontWeight("bold").setBackground("#f0f0f0").setHorizontalAlignment("center");

  const exampleValues = [["(例)旧ファイル名.pdf", "(例)新ファイル名.pdf", "(ここに結果が表示されます)"]];
  const exampleRange = sheet.getRange(2, 1, 1, headers.length);
  exampleRange.setValues(exampleValues);
  exampleRange.setFontStyle("italic").setFontColor("#888888");

  sheet.setColumnWidth(1, 350);
  sheet.setColumnWidth(2, 350);
  sheet.setColumnWidth(3, 200);
  sheet.setFrozenRows(1);
  sheet.getRange("A3").activate();

  SpreadsheetApp.getUi().alert('「表」シートの準備が完了しました。3行目からファイル名を入力してください。');
}

/**
 * スプレッドシートの情報に基づいてGoogleドライブのファイル名を変更します。
 */
function renameFilesFromSheet() {
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  const sheetName = "表";
  const sheet = spreadsheet.getSheetByName(sheetName);

  if (!sheet) {
    SpreadsheetApp.getUi().alert(`シート「${sheetName}」が見つかりません。「ファイル名変更ツール」メニューから「シートを準備する」を実行してください。`);
    return;
  }

  const lastRow = sheet.getLastRow();

  if (lastRow <= 2) {
    SpreadsheetApp.getUi().alert('処理対象のデータがありません。3行目からファイル名を入力してください。');
    return;
  }

  const range = sheet.getRange(3, 1, lastRow - 2, 3);
  const values = range.getValues();

  for (let i = 0; i < values.length; i++) {
    const oldFileName = values[i][0];
    const newFileName = values[i][1];
    const resultCell = sheet.getRange(i + 3, 3);

    if (!oldFileName || !newFileName) {
      resultCell.setValue('入力が不完全です');
      continue;
    }

    try {
      const files = DriveApp.getFilesByName(oldFileName);
      if (files.hasNext()) {
        const file = files.next();
        file.setName(newFileName);
        resultCell.setValue(`変更完了`);
      } else {
        resultCell.setValue('ファイルが見つかりません');
      }
    } catch (e) {
      resultCell.setValue(`エラー`);
    }
  }

  SpreadsheetApp.getUi().alert('処理が完了しました。C列の結果を確認してください。');
}

4.保存する 貼り付けが終わったら、画面上部にある**フロッピーディスクのアイコン(💾)**をクリックして、プロジェクトを保存します。名前は「ファイル名変更ツール」など、分かりやすいものにしておきましょう。

Step 3:ツールの使い方と、感動の瞬間

おめでとうございます!これで、あなた専用ツールは完成です。あとは、執事に働いてもらうだけ。

  1. シートをリロードし、メニューを確認 先ほど作成したスプレッドシートのタブに戻り、ブラウザの再読み込み(リロード)ボタンを押してください。すると、メニューバーに**「ファイル名変更ツール」**という新しい項目が出現します。これが魔法のボタンです。
  2. シートを準備し、指示書を貼り付け 「ファイル名変更ツール」メニューから**「シートを準備する」**をクリックします。すると、「表」という名前のシートが自動で作成され、キレイにフォーマットが整います。 ここに、Step1でAIが作ってくれた「旧ファイル名」と「新ファイル名」の一覧を、3行目から貼り付けていきます。A列に古い名前、B列に新しい名前が来るようにしてください。
  3. 一括変更を実行! 指示書の貼り付けが終わったら、再度「ファイル名変更ツール」メニューから**「ファイル名を一括変更」**をクリックします。
    1. 【重要】初回のみ「承認」が必要です 実行すると「承認が必要です」というポップアップが表示されます。これは、あなたが作ったプログラム(執事)に、あなたの代わりにGoogleドライブを操作する権限を与えるための、ごく正常な手続きです。「権限を確認」→自分のアカウントを選択→「許可」と進めてください。決して怪しいものではないので、ご安心を。
  4. 感動の瞬間を味わう 承認が終わると、プログラムが実行されます。数秒後、「処理が完了しました」というメッセージが表示されたら、スプレッドシートのC列を見てみましょう。「変更完了」の文字が並んでいるはずです。 そして、あなたのGoogleドライブのフォルダを確認してみてください。あれほどカオスだったファイル名が、あなたがAIと考えた美しいルールに沿って、一瞬で整然と並び変わっているはずです。この感動を、ぜひ味わってください!

【第4章】このツールを「育てていく」楽しみ

このツールの素晴らしい点は、一度作ったら終わりではない、というところにあります。これは、あなたの業務やライフスタイルに合わせて成長する、「生きているツール」なのです。

  • 応用例1:経費精算を光速で終わらせる 溜まりがちな領収書の写真を撮り、AIに「領収書_日付_支払先_金額.pdf」というルールで名前を付けさせれば、確定申告や経費精算の時期に慌てることはもうありません。
  • 応用例2:わが家のデジタル・ミュージアムを作る 子どもが描いた絵や、学校からもらってきた賞状をスキャンし、「作品_長男陽太_2025年夏休み_カブトムシの絵.jpg」のように名前を付けて保存すれば、世界に一つだけの、検索可能なデジタル・ミュージアムが完成します。
  • 応用例3:知のストックを一元管理する 読んだ本のメモや、気になったWeb記事のPDFを、「書籍メモ_著者の名前_本のタイトル.pdf」といったルールで保存すれば、あなただけの強力な知識データベースが出来上がります。

AIへの「プロンプト(命令文)」を工夫すれば、ツールはいくらでも賢くなります。あなたなら、この執事にどんなルールを教え込み、どんな仕事を任せますか?ぜひ、あなただけの最強の相棒へと「育てていく」楽しみを見つけてください。

【まとめ】さあ、”探す時間”に終わりを告げよう

今回は、ファイルを探すという、年間90時間もの「見えないコスト」をゼロにするための具体的な方法をご紹介しました。

  • ファイル探しの時間は、あなたの貴重な人生を蝕むコストであること。
  • AI(Gemini)とGASを使えば、無料で、誰でも、自分専用の最強整理ツールが作れること。

この2つを、ご理解いただけたなら幸いです。

難しそうに感じたかもしれませんが、やっていることは実にシンプルです。「賢い秘書(AI)」に名前を考えさせてリストを作り、それを「勤勉な執事(GAS)」に渡して「この通りにやっておいて」と命令しているだけなのです。

この記事を読み終えたら、まずは第一歩として、あなたのデスクトップに転がっている「名称未設定」のファイルを1つだけでいいので、手で名前を付け直してみてください。

その小さな行動が、あなたの未来の時間を大きく生み出す、価値ある一歩となるはずです。 さあ、一緒に「探し物地獄」に、きっぱりと終わりを告げましょう。

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