「40代」…それは、仕事では責任ある立場を任され、家庭では子どもの教育や親の健康が気になり始める、まさに人生の交差点。漠然とした将来への不安から、「とりあえず」生命保険に入っている方も多いのではないでしょうか。
こんにちは。
先日、同僚と話していたとき、こんな話題になりました。「毎月2万円の保険料って、結構きつくない?」「でも、万が一のことを考えると、やめられないんだよな…」
その気持ち、痛いほど分かります。ですが、少しだけ立ち止まって計算してみてください。月々2万円の保険料は、20年間で480万円にもなります。その大きな買い物、本当にあなたの家族の“今”に合った内容になっていますか?
もし、あなたが「保険のことはよく分からない」「担当者に言われるがままに入っている」という状態なら、この記事はあなたのためのものです。
この記事を読めば、専門家でなくても**「誰でも」「たった5分で」**、あなたの家族に本当に必要な保障額が分かります。そして、家計を圧迫しているかもしれない“無駄な保険料”を、家族の未来のための“生きたお金”に変えるきっかけになるはずです。
第1章:40代の私たちに「万が一」があったら、家族はいくら必要?
「万が一のことがあったら…」考えたくないことですが、家族のために備えるのは大人の責任です。では、具体的に「何に」「いくら」お金がかかるのでしょうか。
多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、お葬式代やお墓代かもしれません。しかし、本当に大きな負担となるのは、その後に続く“遺された家族の生活”です。
遺された家族にのしかかるお金は、大きく分けてこの3つです。
- 当面の生活費: 食費、光熱費、通信費など、これまでと変わらない生活を送るためのお金。配偶者が精神的なショックからすぐに働けないケースも考えられます。
- 住居費: 持ち家なら住宅ローンの返済、賃貸なら家賃の支払い。特に住宅ローンは、団体信用生命保険(団信)に加入していれば返済が免除されますが、そうでない場合は重い負担としてのしかかります。
- 教育費: お子さんがいる家庭では、これが最大のウェイトを占めるかもしれません。各種調査によると、幼稚園から大学卒業まで、全て公立でも1人あたり約1,000万円、全て私立なら2,500万円以上かかると言われています。
これらのお金を、死亡保険金だけで全て賄おうとしていませんか?
実は、それが「保険貧乏」の入り口です。「不安だから、保障額は大きい方がいい」と、営業担当者に勧められるがままに高額な保険に入ってしまう。その結果、毎月の保険料が家計を圧迫し、本来なら旅行や自己投資に使えたはずのお金が消えていく…。
そうならないためにも、まずは**「我が家には、具体的にいくら必要なのか?」**を正確に知ることが、賢い保険選びの、何よりもの第一歩なのです。
第2章:【Excel不要】3ステップで算出!我が家の必要保障額
「計算なんて苦手…」という方もご安心ください。難しい知識は一切不要です。電卓片手に、以下の3ステップを真似するだけで、驚くほど簡単にご自身の家庭に必要な保障額が分かります。
【ステップ1】支出を計算する(これから家族にかかるお金)
まずは、あなたに万が一のことがあった後、家族が生活していくために必要となるお金を合計します。(※あくまでシミュレーションの一例です)
- (A) 生活費: 現在の生活費の7割程度が目安です。(例:月20万円 × 12ヶ月 × 20年 = 4,800万円) ※期間は、末のお子さんが独立するまでを目安に設定しましょう。
- (B) 住居費: 賃貸の場合、家賃の総額。(例:月8万円 × 12ヶ月 × 20年 = 1,920万円) ※持ち家で団信に加入している場合は、固定資産税など維持費のみを考えます。
- (C) 教育費: お子さん1人あたり1,000万円〜2,500万円が目安。 (例:子ども2人(公立)× 1,000万円 = 2,000万円)
- (D) その他: 葬儀費用(一例として約200万円)、車の買い替え費用、緊急時の予備費など。(例:500万円)
⇒【支出の合計】 (A) + (B) + (C) + (D) = 9,220万円
【ステップ2】収入を計算する(国や会社からもらえるお金)
次に、遺された家族に入ってくるお金を計算します。多くの方が民間保険のことばかり考えがちですが、実は国からの保障(公的年金)が非常に手厚いのです。ここを知っているかどうかが、保険料を大きく左右します。
- (E) 遺族年金: 国民年金または厚生年金に加入している人が亡くなった場合、遺族に支給される年金です。家族構成や収入によって異なりますが、子どもがいる家庭の場合、年間100万円〜150万円程度が支給されるケースが多いです。 (※これはあくまで一般的なモデルケースです。実際の支給額は個人の収入や加入期間によって大きく異なりますので、必ず最新の『ねんきん定期便』や日本年金機構のウェブサイトでご確認ください) (例:年間120万円 × 20年 = 2,400万円)
- (F) 配偶者の収入: 配偶者が働き続ける場合の将来的な収入。(例:年収150万円 × 20年 = 3,000万円)
- (G) 死亡退職金・弔慰金: 勤務先の規定によりますが、数百万円〜1,000万円以上になることも。(例:500万円)
- (H) 現在の貯蓄: 今ある預貯金のうち、保障として充てられる金額。(例:300万円)
⇒【収入の合計】 (E) + (F) + (G) + (H) = 6,200万円
【ステップ3】【支出 – 収入】で不足額を出す!
さあ、最後のステップです。ステップ1で計算した「支出」から、ステップ2の「収入」を差し引いてください。
9,220万円(支出) – 6,200万円(収入) = 3,020万円
この**「3,020万円」こそが、あなたが民間の生命保険で備えるべき「本当に必要な保障額」**の目安です。
いかがでしたか?「なんとなく5,000万円の保障に入っていた」という方、もしかしたら約2,000万円も過剰な保険に入っていたかもしれません。この差額は、保険料にすると月々数千円〜1万円以上にもなる可能性があります。
第3章:【家族構成別】40代のリアルな保険事情をのぞき見!
計算方法は分かったけれど、「他の人はどうなんだろう?」と気になりますよね。ここでは、40代の典型的な3つの家族モデルを元に、必要な保障額がどう変わるのか見ていきましょう。
ケース1:共働き・子どもなしAさん夫婦(夫42歳・妻40歳)
- 世帯年収:1,000万円(夫600万、妻400万)
- 住居:賃貸
- 考え方: お互いに経済的に自立しているため、どちらかに万が一のことがあっても、残された方の収入で生活を維持しやすい。高額な死亡保障は不要で、お互いのお葬式代や当面の生活立て直し資金として300万〜500万円程度の保障があれば十分な場合が多いです。医療保険やがん保険を手厚くする方が合理的かもしれません。
ケース2:小学生の子ども2人・専業主婦の妻がいるBさん(夫45歳)
- 世帯年収:700万円
- 住居:持ち家(住宅ローンあり・団信加入)
- 考え方: Bさんに万が一のことがあると、家族の収入がゼロになります。末の子が大学を卒業するまでの生活費と教育費が、保障のメイン。団信で住居費はカバーできるため、先ほどの計算式に当てはめると3,000万円〜4,000万円程度の保障が必要になる可能性が高いです。子どもが成長するにつれて必要な保障額は減っていくため、「収入保障保険」という合理的な保険がフィットします。
ケース3:独身・持ち家ありCさん(48歳)
- 年収:600万円
- 住居:持ち家(住宅ローン残債1,500万円)
- 考え方: 扶養家族がいないため、高額な死亡保障は原則不要です。ただし、自分のお葬式代(約200万円)や、家のローンを清算して資産として親族に残したい場合は、その分の保障(ローン残債+200万円)を準備すると良いでしょう。また、親の介護費用を考えているなら、その分も上乗せで考えます。Cさんの場合は500万円〜2,000万円程度が目安となります。
このように、ライフステージや家族構成によって、必要な保障額は全く異なります。「友人と同じ保険に入っている」という方は、今すぐ見直しを検討すべきかもしれません。
第4章:9割が知らない?保険選びで後悔しないためのチェックリスト5選
最後に、必要保障額が分かった上で、保険を選ぶ(または見直す)際に、多くの人が陥りがちな“落とし穴”を5つご紹介します。これを知っておくだけで、あなたの保険選びの精度は格段に上がります。
- 公的保障(遺族年金)を計算に入れず、過剰な保険に入っていないか? これが最大の落とし穴です。営業担当者の中には、あえて遺族年金の説明をせずに、不安を煽って高額な保険を勧めてくる人もいます。まずは国からの手厚い保障があることを前提に考えましょう。
- 保険期間は適切か? 死亡保障が最も必要なのは「子どもが独立するまで」です。60歳、70歳になっても3,000万円の保障は本当に必要でしょうか?必要な期間だけ保障を準備する「定期保険」や「収入保障保険」を活用することで、保険料は劇的に安くなります。
- インフレを考慮しているか? 今の3,000万円が、20年後も同じ価値とは限りません。物価が上昇すれば、実質的な保障額は目減りしてしまいます。少し余裕を持った金額設定や、定期的な見直しを心掛けましょう。
- 保険料の安さだけで「ネット保険」を選んでいないか? ネット保険は手軽で安いのが魅力ですが、万が一の請求手続きは全て自分で行う必要があります。動揺している中で、複雑な手続きを家族に任せられますか?信頼できる担当者から加入する「お守り代」としての価値も考慮する視点も大切です。
- 「貯蓄性」と「保障」を混同していないか? 「解約すればお金が戻ってくるから」と貯蓄型の保険に入る方がいますが、これは非効率な場合が多いです。保障は掛け捨ての保険で安く備え、浮いたお金はNISAやiDeCoで効率的に運用する。「保障」と「貯蓄」は分けて考えるのが、現代のマネーリテラシーの基本です。
まとめ:さあ、あなたの“家族への想い”を形にしよう
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。もう一度、あなたの家庭に必要な保障額の計算式を振り返ってみましょう。
【必要保障額】=【支出(生活費+住居費+教育費+その他)】-【収入(遺族年金+配偶者収入+貯蓄など)】
漠然としていた「万が一の不安」が、具体的な「数字」として見えてきたのではないでしょうか。
さあ、次に行動するのはあなたの番です。
- まず、押し入れに眠っている「保険証券」を全て取り出してみましょう。
- 次に、この記事を元に、一度ご夫婦で「我が家の場合はどうだろう?」と話し合ってみてください。
- そして、計算した保障額が正しいか「答え合わせ」をするために、信頼できる専門家(FPなど)の無料相談を利用してみるのも良いでしょう。
生命保険は、単なる金融商品ではありません。それは、あなたにもしものことがあった時、遺された家族に「今までありがとう。これからも安心して暮らしてね」と伝える、最後のラブレターです。
この記事が、あなたの“家族への想い”を最適なかたちにする、その一助となれば幸いです。
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