行政書士への道:憲法・人権編 第6回「参政権」で政治に参加しよう!

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皆さん、こんにちは!憲法の人権分野の学習も、いよいよ「参政権」に入りました。

これまで「精神的自由権」や「経済的自由権」「人身の自由」といった、国家からの干渉を受けない自由を見てきましたが、今回はそれらとは少し異なる**「国家への自由」、つまり国民が国の政治に積極的に参加する権利である「参政権」**について掘り下げていきたいと思います。行政書士として国民の権利利益を実現する上で、この参政権の理解は非常に重要です。

1. 「参政権」とは?国民が主役になる権利

参政権とは、私たちが国の政治の決定過程に直接、あるいは代表者を通じて参加できる権利のことです。これは、国民が主権者である民主主義国家において、まさに「国家への自由」を体現する、最も重要な権利の一つと言えます。私たちが政治に参加することで、自分たちの意見を反映させ、より良い社会を築いていく基盤となる権利なのです。

参政権には、具体的にどのような権利が含まれるのでしょうか。

2. 参政権の主要な要素

参政権は、以下のような様々な権利で構成されています。

2-1. 選挙権:私たちの代表を選ぶ権利

選挙権は、私たち国民が、国や地方の政治を行う代表者を、選挙で選ぶことのできる権利です。これは、私たち個人の権利であると同時に、公務員を選ぶという「公務」としての側面も持っていると解釈されています。そのため、公職選挙法では、禁錮以上の刑に処せられた者などが選挙権を持たないと定められており、これはこの公務としての側面に基づいて制限されていると考えられています。

選挙権には、以下の5つの基本的な原則があると言われています。

  • 普通選挙の原則: 有権者になるために、人種、職業、財力、性別、教育、宗教など、個人の特性を問わない選挙です。日本では、1945年(昭和20年)に満20歳以上のすべての国民に選挙権が認められた時に、真の意味での普通選挙が実現しました(現在は18歳以上)。
  • 平等選挙の原則: 「1人1票」を原則とする選挙です。現代では、単に一人一票であるだけでなく、その一票の価値が平等であることも意味するようになっています。国政選挙の選挙区で人口の違いにより一票の価値に差が出ることが問題視され、憲法違反ではないかと訴訟が起こされることがあります。
  • 直接選挙の原則: 私たち有権者が、直接公務員を選挙する制度です。地方公共団体の長や議会議員は憲法で直接選挙が義務付けられていますが、国会議員については間接選挙も含むと解釈されています。
  • 自由投票の原則: 投票するかしないか、そして誰に投票するかを自由に決められる制度です。棄権しても制裁を受けることはありません。
  • 秘密投票の原則: 誰に投票したかを秘密にできる制度です。これは、有権者が脅迫や買収を受けることなく、自由に投票できるようにするために非常に重要な原則です。憲法第15条第4項にも明記されており、選挙人はその選択に関して、公的にも私的にも責任を問われません。

2-2. 被選挙権:代表者として選ばれる権利

被選挙権は、私たち国民が、選挙に立候補し、代表者として選ばれることのできる権利です。日本国憲法には被選挙権を直接定めた条文はありませんが、選ばれる側の権利が不当に侵害されれば、私たち選ぶ側の選挙権も十分に保障されているとは言えなくなるため、選挙権と一体のものとして憲法第15条第1項を根拠に保障されると解されています。

衆議院議員は満25歳以上、参議院議員や都道府県知事は満30歳以上など、被選挙権には年齢制限があります。この年齢制限については、引き下げを求める議論も存在します。

2-3. 選定罷免権:公務員を選び、辞めさせる権利

憲法第15条第1項には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定されています。これは参政権を保障するための一つの権利です。

しかし、現状では、すべての公務員の選定や罷免を国民が直接行えるわけではありません。私たちが直接選べるのは、国会議員や地方議会の議員、地方公共団体の首長などに限られています。また、国民が直接罷免できるのは、最高裁判所裁判官(国民審査)のみです。

2-4. 直接請求権:地方政治に直接声を届ける権利

直接請求権は、地方公共団体の政治において、住民が条例の制定・改廃や議会の解散などを直接請求できる権利です。これは、地方自治における住民の直接参加を保障する重要な制度です。

2-5. 住民投票:特定の法律に直接意見を表明する権利

特定の地方公共団体だけを対象にした法律を国会が制定する場合、その地方の住民の投票によって過半数の同意を得る必要があるとされています。また、法的拘束力はないものの、地方自治体によっては、外国人にも投票権を認める住民投票条例が存在する例もあります。

2-6. 国民審査:最高裁裁判官をチェックする制度

国民審査は、最高裁判所の裁判官がその職務にふさわしいかどうかを、私たち国民の投票によって審査する制度です。これは、司法の公正性を担保するため、国民が司法に参加できる珍しい機会です。

3. 在日外国人への参政権:議論の焦点

日本では、原則として参政権は日本国籍を有する者に保障されると解釈されています。憲法第15条第1項の「国民」は日本国民を意味するため、参政権の保障は日本国籍を有する者のみに及ぶ、というのが日本政府の見解です。

一方で、在留外国人に対して、地方公共団体の長や議会の議員などの選挙権を法律によって付与することは、憲法上禁止されていないと解する見解も存在します。最高裁判所の判例(平成7年2月28日判決)では、永住者等で、居住する地域と「特段に緊密な関係」を持つと認められる在留外国人に対し、法律によって地方選挙の投票権を与える措置を講じることは憲法上禁止されていない、という傍論(判決の主文に直接関係しない補足的な意見)が示されました。ただし、このような措置を講じるかどうかは国の立法政策にかかわる事柄であり、講じないからといって憲法違反となるわけではありません。

外国人参政権については、過去にも法案が提出されるなど、現在も活発な議論が続いています。

3-1. 帰化(日本国籍取得)と参政権

もし、在日外国籍の方が日本国籍を取得(帰化)すれば、日本人として当然に参政権を得ることができます。帰化にはいくつかの条件があり、手続きには時間もかかりますが、選挙権が得られる以外にも、住宅ローンや融資が利用しやすくなる、就職の選択肢が増える(国家公務員や地方公務員など外国籍では就けない職業があるため)、海外渡航がしやすくなる、社会保障が日本人と同様に受けられる、強制送還の心配がなくなる、就職や家探しでの差別から解放される、在留期間更新手続きが不要になるなど、多くのメリットがあります。一方で、母国の国籍を失うことや、母国へ行くのにビザが必要になる場合があるといったデメリットもあります。

4. 障害のある人の参政権:誰もが政治に参加するために

参政権は、障害をもつ人々にとって、その人権保障を実効あるものとし、「完全参加と平等」を実現するための核となる、重要で切実な権利です。日本国憲法の下では、原則として20歳以上の日本国民には、障害の有無に関わらず選挙権が保障されています。

しかし、現状では、投票に関する保障(不在者投票、施設投票、点字投票、代理投票など)や、選挙における情報保障(点字による広報、手話通訳など)といった制度的保障が一定程度あるものの、国際的に見ると立ち遅れていると指摘されています。特に、議員活動の保障が十分でなかったり、選挙運動の困難が大きかったりするといった課題があります。コミュニケーション支援の不足が参政権行使の妨げとなる事例も報告されています。

2006年に採択された「障害のある人の権利条約」は、政治参加の権利や、多様な手段でのコミュニケーションを保障する権利を定めており、障害のある人の参政権保障の発展に大きな影響を与えています。条約批准や公職選挙法等の改正、選挙活動支援や投票権拡大のための施策実施などが、今後の参政権保障の方向性として挙げられています。また、意思決定や意思表示が困難な場合の意思確認の方法や、成年後見制度と選挙権の欠格条項といった課題も存在します。

公職選挙法が適用される選挙以外にも、農業委員会や海区漁業調整委員会など、国籍条項がない選挙も存在します。


本日のまとめ

  • 参政権は、国民が政治に参加する「国家への自由」であり、民主主義の要。
  • 主な要素として、選挙権、被選挙権、選定罷免権、直接請求権、住民投票、国民審査がある。
  • 選挙権の5原則(普通、平等、直接、自由、秘密)は重要。
  • 在日外国人への参政権は、憲法上は一律に禁止されていないが、立法政策の問題。
  • 障害のある人の参政権は、国際的な視点からさらなる保障が必要。

今回は「参政権」について学びました。国民一人ひとりの権利が、いかにして国の政治と結びついているか、改めて実感する内容でしたね。

行政書士試験の憲法では、参政権の各原則やその例外、そして在日外国人や障害のある人の参政権に関する判例・議論が重要ポイントとなります。私もGeminiのNotebookLMを活用し、これらの論点を効率的に整理しながら学習を進めています。

次回も、憲法の奥深さを一緒に探求していきましょう!

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