行政書士への道:憲法・統治機構編 第6回「議院内閣制の核心!『内閣不信任決議』と『衆議院の解散』」

生成AIで作成。

皆さん、こんにちは!行政書士の勉強、山場を越えていきましょう。

前回は、内閣が持つ多様な「権能」について学びました。今回は、日本の統治機構の根幹である議院内閣制を象徴する、最もダイナミックな制度、**「内閣不信任決議」と「衆議院の解散」**について掘り下げます。この二つは、国会と内閣の緊張関係を示すものであり、試験でも頻出の超重要テーマです。

1. 制度の土台:議院内閣制と「信任」の関係

本題に入る前に、基本をおさらいしましょう。日本は権力の濫用を防ぐ**「三権分立」を基礎としつつ、政治体制として「議院内閣制」**を採用しています。

この制度の核心は、**「内閣は、国会(特に国民の代表である衆議院)の信任に基づいて成立し、国会に対して連帯して責任を負う」**という点にあります。

つまり、内閣は常に国会の「信任」を得ていなければならず、もしその信任が失われた場合、政権を維持することはできません。この「信任」が失われたときに発動するのが、今回学ぶ二つの制度なのです。

2. 衆議院の切り札:「内閣不信任決議」とは?

「内閣不信任決議」とは、衆議院が内閣に対し、「あなた方をこれ以上信用できません。直ちに退陣してください」と、法的な効力をもって意思表示することです。

2-1. 制度の概要(憲法第69条)

これは、衆議院にのみ認められた非常に強力な権限です。

決議案を提出するには、発議者1人に加え賛成者50人以上が必要で、衆議院本会議で出席議員の過半数の賛成で可決されます。

2-2. 可決された場合の絶大な効果

もし内閣不信任決議が可決された場合、内閣は以下の二者択一を迫られます。

  • 10日以内に、内閣総辞職する
  • 10日以内に、衆議院を解散する

この厳しい選択を迫る点で、単なる政治的アピールとは一線を画す、法的な強制力を持つ制度であることがわかります。

2-3. 実態と政治的意義

実際には、内閣不信任決議が可決されることは滅多にありません。なぜなら、首相は国会の多数を占める与党から選ばれるため、通常は与党議員の反対で否決されるからです。

では、なぜ野党は否決されるとわかっていても提出するのでしょうか。その理由は、決議案が提出されると他の議事がストップし、本会議で最優先で審議されるためです。この場で、野党は政権の問題点を国民に訴え、世論にアピールする絶好の機会を得ることができるのです。

豆知識:参議院の「問責決議」

内閣不信任決議は衆議院だけの権限です。参議院には、法的拘束力のない**「問責決議」**という制度があります。これは政治的・道義的な責任を問うもので、可決されても内閣が辞職や解散をする義務はありません。

2-4. 過去の可決事例

戦後の憲法下で内閣不信任決議が可決されたのは、以下のわずか4回です。これらはすべて、与党内から造反者が出たことで可決に至っており、政局の大きな転換点となりました。

  1. 1948年(第二次吉田内閣)
  2. 1953年(第四次吉田内閣)
  3. 1980年(第二次大平内閣)
  4. 1993年(宮沢内閣)

興味深いことに、4例すべてで内閣は総辞職ではなく「衆議院の解散」を選択しています。

3. 首相の伝家の宝刀:「衆議院の解散」とは?

「衆議院の解散」とは、任期満了を待たずに、全衆議院議員の身分を失わせて総選挙を行うことです。

3-1. 解散権は誰のものか?

この問いの答えは、行政書士試験で非常に重要です。

  • 形式的な権能天皇(憲法第7条3号に定められた国事行為)
  • 実質的な決定権内閣(天皇の国事行為に対する助言と承認を行う)

内閣の決定は、事実上、そのトップである内閣総理大臣の判断に委ねられます。そのため、衆議院の解散は**「首相の専権事項」「伝家の宝刀」**と呼ばれます。

3-2. なぜ解散できるのか?(根拠と判例)

解散の根拠には2つの考え方があります。

  • 憲法69条説:内閣不信任決議を可決された場合のみ、対抗措置として解散できるとする説。
  • 憲法7条説:天皇の国事行為を定めた7条を根拠に、内閣は**いつでも自由に(裁量で)**解散を決定できるとする説。

現在の政府解釈や実務では、後者の**「7条説」が採用されています。

かつて解散の有効性が裁判で争われた「苫米地事件」で、最高裁判所は「衆議院の解санは極めて政治性が高い国家行為であり、裁判所がその有効性を審査する対象ではない」とする「統治行為論」を採りました。これにより、解散が適切かどうかの最終判断は、選挙を通じて国民自身**に委ねられることになったのです。

3-3. 解散のプロセスと効果

解散は以下の流れで進みます。

  1. 閣議で解散を全会一致で決定。(反対する大臣は首相が罷免できるため、事実上首相が決定)
  2. 天皇が署名・押印した解散の詔書が、内閣から衆議院議長に伝達される。(このとき使われる「紫の袱紗(ふくさ)」は解散の代名詞)
  3. 衆議院本会議で議長が詔書を朗読した瞬間、全議員が失職
  4. 慣例として「万歳三唱」が行われる。

解散すると、審議中の議案はすべて廃案となり、参議院も閉会となります。

3-4. 政治的意義と課題

解散・総選挙は、重要な政策について国民の信を問う**「レファレンダム(国民投票)」のような機能を果たします。一方で、政権与党にとって有利な時期を選んで行われる「党利党略の解散」**だという批判も常に存在します。


本日のまとめ

  • 議院内閣制は、内閣と国会の**「信任」**関係が土台。
  • 内閣不信任決議は、衆議院が信任を撤回する法的手段。可決されれば「総辞職」か「解散」を選択。
  • 衆議院の解散は、内閣(事実上は首相)が国民に信を問うための手段。憲法7条を根拠にいつでも可能(7条説)。
  • 解散の是非を裁判所は判断せず(統治行為論)、最終判断は選挙における国民に委ねられる。

この二つの制度は、お互いを牽制し合う、議院内閣制の心臓部です。条文と判例をセットで確実に押さえておきましょう。

快適な住まいや生活環境をより便利にするため、住まいの悩み解決に役立つ お役立ち情報を紹介するWEBサイトを紹介します。

ハウスケアラボ

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です