「このまま円安が続いたら、保険料が払えなくなるかも…」 「せっかく今まで続けてきたのに、今やめたら損する?」
記録的な円安が、私たちの家計をじわじわと圧迫しています。特に、数年前に「将来のため」と意を決して加入したドル建て保険。当時は魅力的だったはずが、今や頭を悩ませる「不安の種」になっていませんか?
こんにちは。金融系の話題にアンテナを張っている40代のブロガーです。
何を隠そう、私の知人Aさん(45歳・会社員)も、まさにその一人でした。数年前に加入したドル建て保険の保険料が、気づけば1.5倍近くに膨れ上がり、「このまま続けるべきか、いっそ解約すべきか…」と夜も眠れないほど悩んでいたのです。
この記事では、そんなAさんのリアルな事例を追いながら、
- そもそもドル建て保険って何?(基本の復習)
- 【加入者向け】円安の今、取るべき3つの具体的な選択肢
- 【検討者向け】リスクを理解し、NISAなどと比較する方法
を、誰にでも分かるように徹底解説します。 もしあなたがドル建て保険について少しでも不安や疑問を抱えているなら、この記事を読み終える頃には、きっと心が晴れやかになり、**「自分だけの正解」**を見つけるための具体的な一歩が踏み出せるはずです。
【第1章:3分でわかる!そもそもドル建て保険って何?】
すでにご存知の方も多いかもしれませんが、まずは基本の「き」を簡単におさらいしましょう。
1-1. なぜ日本円じゃなく「ドル」なの?
ドル建て保険とは、その名の通り、保険料の支払いや、将来受け取る保険金・解約返戻金がすべて米ドルで行われる保険のこと。
「なぜ、わざわざ馴染みのないドルで?」
その最大の理由は、日米の金利差にあります。ご存知の通り、日本は長らく超低金利時代が続いています。一方、アメリカは日本よりも政策金利が高く設定されているため、お金を運用した際のリターン(保険で言う「予定利率」)が高くなりやすいのです。
つまり、ドル建て保険は**「アメリカの高い金利の恩恵を受けながら、万が一の保障も確保しよう」**という、ある意味ハイブリッドな金融商品なのです。
1-2. 円安と円高、あなたの保険に何が起きる?
このドル建て保険の最大のポイントであり、悩みの種となるのが**「為替リスク」**です。円とドルの交換レートは、毎日変動しますからね。
- 【円安時(今のような状況)】
1ドル = 110円
→1ドル = 150円
- 支払う時: 毎月100ドルの保険料を払う場合、以前は11,000円で済んだのが、今は15,000円必要に。負担は重くなります。
- 受け取る時: 1万ドルの保険金を受け取る場合、以前なら110万円だったのが、150万円に。円換算での受取額は増えます。
- 【円高時(将来こうなる可能性も)】
1ドル = 150円
→1ドル = 110円
- 支払う時: 100ドルの保険料が11,000円で済むように。負担は軽くなります。
- 受け取る時: 1万ドルの保険金が110万円に。円換算での受取額は減ります。
このように、為替はまさに「諸刃の剣」。今の円安は、保険料の支払いにとっては逆風ですが、将来の受け取りを考えれば追い風にもなり得るのです。このジレンマこそが、Aさんを悩ませていた根本原因でした。
【第2章:【加入者向け】円安の今、40代Aさんと考える3つのリアルな選択肢】
さて、ここからが本題です。私の知人Aさんの実例を見ていきましょう。
- Aさんの状況
- 加入時期: 5年前(1ドル=115円くらいの頃)
- 商品: 15年払込のドル建て終身保険
- 目的: 10年後に迎える長男の大学進学資金の一部
- 保険料: 月々200ドル(当時の日本円で約23,000円)
- 現在の悩み: 円安が進み、保険料が月々30,000円を超えてきた。家計を圧迫しており、このまま払い続けるべきか真剣に悩んでいる。
あなたと似ている部分はありませんか? Aさんと一緒に、3つの選択肢を一つずつ検討していきましょう。
2-2. 選択肢①:「継続」する覚悟と、その先の景色
最初に考えるべきは、当初の予定通り「払い続ける」ことです。
- メリット:
- 将来、保険金や解約返戻金を受け取る時に今以上の円安であれば、大きな為替差益が期待できます。
- 保険料が円換算で高い時に多く、安い時に少なく払うことになる「ドルコスト平均法」の効果で、長期的に見れば為替リスクを平準化できます。
- デメリット:
- 目先の保険料負担が重く、家計を圧迫する可能性があります。
- 将来、もし急激な円高に振れた場合、受け取り時に元本割れするリスクがあります。
- どんな人向け?
- 現在の保険料負担増に耐えられるだけの家計の体力がある人。
- 保障の必要性が高く、長期的な視点で資産形成を続けられる人。
Aさんも、まずはこの選択肢を考えました。しかし、教育費や物価高で家計に余裕がなく、「このまま続けるのは正直しんどい…」というのが本音でした。
2-3. 選択肢②:「解約」というゴールテープを切る前に
次にAさんが考えたのが、「いっそ解約して、円安の恩恵を受けてしまおう」という考えです。
- メリット:
- 円安のおかげで、支払った保険料(円換算)を上回る解約返戻金を受け取れる可能性があります。いわゆる「為替差益」ですね。
- 毎月の保険料の支払いという精神的・経済的なプレッシャーから解放されます。
- デメリット:
- 本来の目的である「保障」が完全になくなります。
- 早期解約の場合、「解約控除」という手数料が引かれ、ドルベースでは元本割れしていることがほとんどです。円安でたまたまプラスに見えるだけ、というケースも。
- どんな人向け?
- 他に十分な保障を確保しており、この保険の保障が不要になった人。
- どうしてもまとまった現金が必要になった人。
- この保険よりも有利な投資先(NISAなど)に資金を振り向けたい人。
Aさんは保険会社に解約返戻金のシミュレーションを依頼。結果、円安のおかげで、払込総額をわずかに上回ることが判明しました。しかし、本来の目的だった「大学進学資金」と「万が一の保障」がなくなることを考えると、即決はできませんでした。
2-4. 選択肢③:「減額」or「払済保険」という賢い着地点
ここでAさんがたどり着いたのが、「継続」と「解約」の“中間”とも言える選択肢です。
- 「減額」とは?
- 保障額を減らすことで、今後の保険料を安くする方法です。例えば、保障額を半分にすれば、月々の保険料も約半分になります。保障は残しつつ、家計の負担を軽減できます。
- 「払済(はらいずみ)保険」とは?
- 今後の保険料の支払いを完全にストップし、その時点での解約返戻金を元手に、保障期間が一生涯の小さな保険に切り替える方法です。保障は大幅に減りますが、元本割れのリスクを確定させずに保障を持ち続けられます。
Aさんは、この2つの選択肢を比較検討しました。 「減額」は、負担を減らしながらも貯蓄を続けられる点が魅力でした。一方、「払済保険」は、これ以上の支払いがなくなる安心感が大きい。
最終的にAさんは、**「減額」**を選びました。月々の保険料を200ドルから100ドルに減らすことで、家計の負担を当初の水準に戻しつつ、子どものための資産形成と万が一の保障を継続する道を選んだのです。「これで、為替に一喜一憂せずに、心穏やかに過ごせるよ」と話していた表情が印象的でした。
【第3章:【検討者向け】円安の今、ドル建て保険は本当に「買い」なのか?】
ここまで加入者向けの話をしてきましたが、最後に「これからドル建て保険を検討している」という方へのメッセージです。円安の今は、メリットとリスクが非常にはっきり見えるため、冷静な判断が求められます。
3-1. メリット再確認:金利・為替差益・資産分散
円安の今だからこそ、ドル建て保険のメリットは輝いて見えます。
- 高い予定利率: 日本の円建て保険とは比べ物にならないリターンが期待できる可能性。
- 為替差益の期待: 将来さらに円安が進めば、大きな利益を得られます。
- 資産分散: 資産を日本円だけでなくドルで持つことで、将来の円の価値下落リスクに備えられます。
これらは紛れもない事実であり、大きな魅力です。
3-2. 見落とせない3つのリスク:為替・金利・手数料
しかし、光が強ければ影も濃くなります。
- 為替リスク: これが最大のリスク。受け取る時に円高(例:1ドル100円)になっていれば、高確率で元本割れします。
- 金利変動リスク: 今は高い米国の金利も、将来下がる可能性は十分にあります。
- 隠れコスト: ドルと円を交換する際の「為替手数料」(1ドルあたり50銭~1円など)、契約・維持管理にかかる「保険関係費用」など、目に見えにくいコストがリターンを圧迫します。
3-3. NISAやiDeCoと徹底比較!あなたに合うのはどれ?
「ドルで資産を増やす」という目的なら、2024年から新しくなったNISAで米国株の投資信託を買う、という選択肢もあります。では、ドル建て保険と何が違うのでしょうか?
項目 | ドル建て保険 | NISA(投資信託) |
目的 | 保障 + 貯蓄・運用 | 運用(資産形成) |
保障機能 | あり(死亡保障など) | なし |
手数料 | 比較的高め | 比較的安め |
流動性 | 低い(解約しにくい) | 高い(いつでも売却可) |
税金 | 受取時に税金がかかる場合あり | 非課税 |
最大の違いは「保障機能」の有無です。 もしあなたが「万が一の備え」を第一に考えるなら、ドル建て保険は選択肢になります。しかし、「とにかく効率よく資産を増やしたい」のであれば、手数料が安く、運用益が非課税になるNISAの方が有利と言えるでしょう。
【まとめ:ドル建て保険と賢く付き合うための最終結論】
記録的な円安の今、ドル建て保険は多くの人にとって悩みの種となっています。しかし、見方を変えれば、そのメリットとリスクが浮き彫りになり、自分たちの資産と真剣に向き合う絶好の機会とも言えます。
- 加入者のあなたへ: 感情的に「解約!」と決める前に、まずはAさんのように「継続」「解約」「減額/払済」という選択肢を冷静に比較してみてください。保険会社に連絡すれば、それぞれのパターンのシミュレーションを出してくれます。大切なのは、「なぜ自分はこの保険に入ったのか?」という原点に立ち返り、今のライフプランと照らし合わせることです。
- 検討中のあなたへ: 「円安だから儲かるかも」という期待だけで飛びつくのは危険です。ドル建て保険が持つ「保障」という本来の役割が、本当に今のあなたに必要かを考えましょう。その上で、NISAなど他の選択肢と比較し、納得できるものを選んでください。
ドル建て保険は、決して「良い」「悪い」で一刀両断できる商品ではありません。あなたの目的やライフプラン、そして為替という気まぐれなパートナーと、どう賢く付き合っていくか。
この円安の波を、あなたの資産を見直す「チャンスの波」に変えていきましょう。