
こんにちは。40代の知人であるあなたに、今、私はあえて問いたい。 「その保険料、ドブに捨ててませんか?」
……いや、正確に言おう。 「老後の安心のため」と信じて払い続けているその「終身保険」、もしかしたら、あなたを**老後の自由から遠ざける「呪縛」**になっているかもしれません。
40代。給料は上がらないのに、子どもの教育費と住宅ローンはピーク。親の介護も現実味を帯びてくる。「老後」なんて考えたくもない。
そんな我々の不安につけ込むように、「今入らないと損!」「一生モノの安心を!」と終身医療保険や終身がん保険が売られていく。月々8,000円、1万円。
でも、私は気づいてしまった。 保険会社にその「月1万円」を差し出すことは、「安心」を買っているように見えて、実は**「老後に自由になるチャンス」を自ら捨てている**行為かもしれない、と。
今日は、私が下した「ある決断」について、包み隠さず話します。 これは、保険会社の営業マンが絶対に口にしない、不都合な真実です。
第1章:月1万円の「貢ぎ物」が、20年後に化ける皮算用
まず、45歳の私たちが「老後のため」に終身医療保険(日額5,000円)と終身がん保険(一時金100万円)に入ったとしましょう。保険料は「月1万円」と仮定します。
これを65歳までの20年間払い続けると、払込総額は 1万円 × 12ヶ月 × 20年 = 240万円
「240万円で一生涯の安心が買えるなら安い」 本当にそうでしょうか?
もし、この「月1万円」を保険会社に払わず、2024年から始まった新NISAで、年利5%(世界経済の平均的な成長率)で20年間積み立て運用したら?
シミュレーション上、元本240万円は…… 約411万円になります。 (※これはあくまでシミュレーションであり、成果を保証するものではありません)
分かりますか? あなたが「安心」のために払った月1万円は、保険会社の手数料と経費を引かれ、残りが運用されます。しかし、NISAで自分で運用すれば、そのリターン(240万円が411万円になる可能性)はすべてあなたのものです。
あなたは「保障」を買っているつもりが、実は「20年で171万円(411万-240万)の利益を生む運用機会」を捨てているのです。
「でも、投資は怖い!」「病気になったらどうするんだ!」 その通りです。だから、私たちは「本当の敵」を知る必要があります。
第2章:老後の「本当の敵」は、保険じゃ倒せない
「老後は医療費がかかる」……これは真実ですが、半分はウソです。 日本には、世界最強のセーフティネット**「高額療養費制度」**があります。
70歳以上(一般所得)なら、その月に手術・入院で医療費が100万円かかろうが、200万円かかろうが、あなたが窓口で払う自己負担の上限は月額約57,600円(※)です。 (※年収約156万~370万の場合。しかも年4回目からは44,400円に下がる)
最強です。これがある限り、私たちは医療費で破産しません。
「じゃあ、保険はいらないじゃないか!」
……そう、ここに「罠」があります。 この最強制度には、**対象にならない「穴」がある。 それこそが、私たちが備えるべき「本当の敵」**です。
敵①:差額ベッド代という名の「合法的なぼったくり」 厚生労働省の調査(R5)で、個室(1人部屋)の平均額は1日8,437円。 これは高額療養費制度の対象外。全額自己負担です。
想像してください。68歳で脳梗塞。救急搬送された病院で、こう言われます。 「今、大部屋は満床です。こちらの個室(1日1万円)ならすぐに入れますが、どうされますか?」 「家族が泊まれるから」「見舞客に気を使わないから」……私たちは「快適さ」を選び、同意書にサインします。
もし40日間入院したら? 1万円 × 40日 = 40万円(全額自己負担)
この「40万円」が、高額療養費の上限(5.7万円)とは**「別」に**請求されます。
「医療保険(日額5,000円)に入ってたから!」 40日×5,000円=20万円。 ……足りませんね。残り20万円は自己負担です。 そもそも、その「20万円」をもらうために、あなたは今まで「240万円」(月1万円×20年)を払ってきたんですよ? 割に合いますか?
敵②:介護という名の「終わらない支出」 公的介護保険も「上限」があります。 (公財)生命保険文化センター(2024年)の調査では、介護にかかる費用の総額は平均で約550万円。 「評判のいい施設に入りたい」「在宅で手厚く介護したい」と思えば、費用は青天井です。
敵③:葬儀代 平均約150万円。
さあ、敵の正体を合計しましょう。 医療の穴(300万)+ 介護の穴(550万)+ 葬儀の穴(150万)= 約1,000万円
これが、私たちが「年金生活費」とは別に用意すべき**「予備費(実弾)」**です。 この「1,000万円」の敵を倒すのに、月額1万円の終身保険で貯まる「240万円」では、全く歯が立ちません。
第3章:戦略的撤退。40代は「掛け捨て」で逃げ切れ
では、どうするか。 私の戦略は**「保険のミニマリズム(最小限主義)」**です。
老後(65歳)までは、「死なない」「働けなくならない」ことだけに集中します。
- 子育て中(40代): 家族のために、保険料が格安な**「掛け捨て死亡保険(定期)」**にだけ入る。(例:子どもが独立するまでの20年間、2000万円保障)
- 住宅ローンがある人: 団信(団体信用生命保険)が最強の死亡保険です。
- 万が一の就業不能: これも**「掛け捨て就業不能保険」**でカバー。
これだけです。 医療保険? がん保険? ……入りません。 なぜなら、40代・50代のうちは、まだ若く健康で、貯蓄(NISA)を増やすことが最優先だからです。
そして、終身保険に入るはずだった**「月1万円」**を、すべてNISAに回す。 目的はただ一つ。
65歳になった時、銀行口座に「予備費1,000万円」を叩きつけること。
第4章:65歳、運命の分岐点【天国と地獄】
そして、運命の65歳。 私たちが「定期保険+NISA投資」戦略の結果を突きつけられる日です。
【天国】貯蓄1,000万円を達成したあなた
おめでとうございます。 あなたは**「保険会社からの完全なる卒業」**を、自らの才覚と規律で勝ち取りました。
あなたは「自由」です。
- 医者に「個室にしますか?」と聞かれたら、「お願いします。一番静かな部屋を」と即答できます。なぜなら、貯蓄(1,000万円)で払えるから。
- 介護が必要になっても、「評判の良いあの施設にしよう」と自分で選べます。
- 保険の営業電話に「あ、もう(自分で貯めたので)結構です」と、王者の余裕で電話を切ることができます。
- 保険会社に払うはずだった「月1万円」は、老後の「夫婦での旅行費」「孫へのお小遣い」に変わります。
これこそが、私たちが目指すべき「老後の姿」ではないでしょうか。
【地獄】貯蓄が間に合わなかったあなた
65歳。NISAは思うように増えず、貯蓄は300万円。 そこに追い打ちをかけるように、健康診断で「高血圧」と「糖尿病予備軍」のレッテルを貼られる。
介護(平均550万)が始まった瞬間に、予備費300万は尽き、即「生活破綻」です。 あなたは慌てて保険を探します。
「お客様(65歳・持病アリ)の健康状態では、通常の保険にはご加入いただけません」
これが現実です。 残された道は、**「引受基準緩和型」**という名の、最後の砦(あるいは最後の搾取)だけ。
ここで、生々しい数字をお見せします。 45歳で入れば「月3,000円」だったかもしれない終身医療保険。 65歳、持病アリで「緩和型」に入ろうとすると……
月額 9,000円 ~ 12,000円。
これを、収入が激減した「年金生活」の中から、死ぬまで払い続けるのです。 しかも、この手の保険は「加入後1年間は保障半額」などの制約(ペナルティ)がついていることがほとんど。
40代で「月1万円」をNISAに回すリスクを取らなかった(あるいは、終身保険という「安心」を選んだ)結果、65歳になって、もっと割高で条件の悪い保険に、年金から加入せざるを得なくなる。
これ以上の「地獄」がありますか?
結論:これは「賭け」だ。だが、勝算は40代の「今」にある。
「65歳までは投資優先」スタイル。 これは、紛れもなく**「自分への賭け」**です。
「65歳までに、病気にならず、投資を続け、1,000万円の予備費を自力で作る」という賭けです。
- **この賭けに勝てば、**保険料という「呪縛」から解放された、本当の自由が手に入ります。
- この賭けに負ければ、「思考停止」で40代に終身保険に入った人より、遥かに高い代償を払うことになります。
私は、この賭けに「勝つ」と決めました。 なぜなら、40代の私たちには、NISAという最強の武器と、20年という「時間」がまだ残されているからです。
さあ、知人であるあなたに問います。
あなたは「安心」という名の「思考停止」を選び、保険会社に月1万円の「貢ぎ物」を払い続けますか?
それとも「リスク」を取り、NISAで資産を育て、65歳で「保険不要」の自由を自ら掴み取りにいきますか?
決めるのは、40代の「今」です。
【免責事項】
この記事は、筆者個人の戦略と考え方を紹介するものであり、特定の金融商品や保険商品、投資行動を推奨するものではありません。 保険の加入や見直し、NISAなどの資産形成は、ご自身の経済状況、健康状態、将来設計などを考慮し、専門家(ファイナンシャル・プランナーや保険代理店、証券会社の担当者)にご相談の上、ご自身の判断と責任において行ってください。 記載されている制度や数値(差額ベッド代の平均額、NISAのシミュレーション結果など)は、将来的に変更される可能性があり、成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。

