
皆さん、こんにちは!
「歴史の年号、何度書いても覚えられない…」 「英単語、意味の通じない呪文みたいで頭に入らない…」
テスト前、意味もわからない記号や数字を、ただひたすら「丸暗記」しようとして苦しんでいませんか? それは例えるなら、穴の空いたバケツに必死で水を汲もうとしているようなものです。苦しいだけで、ほとんど何も残りません。
300年前に生きたアイザック・ワッツは、記憶を定着させるための、もっと賢く、もっと楽しい方法を知っていました。それは、知識を「孤立」させず、**「つなげる」**ことです。
今回は、苦しい丸暗記地獄から抜け出し、脳の仕組みを逆手に取った「連想ゲーム」で、記憶力を劇的に向上させるテクニックを紹介します。
脳は「ひとりぼっち」の情報が嫌い
私たちの脳は、全く新しい情報(未知のもの)を、単独で覚えるのが非常に苦手です。 例えば、「『ホニャララ』という物質があります」と突然言われても、脳は「はあ、そうですか(で、それをどうしろと?)」と反応し、すぐにゴミ箱行きにしてしまいます。これが丸暗記の限界です。
しかし、ワッツはこう言います。「新しい知識を得ようとする時、心の中にある類似のアイデアを探し出し、それと結びつけるべきである」。
これはどういうことでしょうか。脳は、「未知のもの」を、すでに知っている「既知のもの」とくっつけるのが大好きなのです。 「『ホニャララ』は、君が昨日食べたカレーに入っていたスパイスの一種だよ」と言われた瞬間、脳は「ああ!あのカレーの!」と反応し、強烈に記憶します。
つまり、記憶のコツとは、新しい情報を「孤独」にさせないこと。すでにあなたの脳内にある「記憶のフック」に、新しい情報を引っ掛ける作業なのです。
バラバラの「点」を、物語の「線」にする
この「つなげる力」を最大限に発揮する方法の一つが、**「ストーリー化」です。 ワッツは、記憶を助けるために「韻文(詩やリズム)」を利用することや、「驚きや面白さ」**を伴うものが記憶に残りやすいことを指摘しています。人間は太古の昔から、事実の羅列ではなく、「物語」を通して知識を伝承してきました。
例えば、全く関係のない3つの単語「リンゴ」「ゾウ」「月」を覚えるとします。 「リンゴ、ゾウ、月…リンゴ、ゾウ、月…」とブツブツ唱えても、すぐに忘れてしまいます。
そこで、この3つを無理やりつなげて、一つの変な物語(連想ゲーム)を作ってみましょう。 「巨大な『リンゴ』を鼻で掴んだ『ゾウ』が、ジャンプして『月』にダンクシュートした!」
どうでしょう? 奇妙で面白い映像が頭に浮かびませんか? ワッツが言うように、「馬鹿げたことや奇妙なことでも、記憶を助けることがある」 のです。 脳は「感情」や「イメージ」が伴うものを重要だと判断します。ただの単語の羅列(点)を、ユニークな物語(線)に変えることで、記憶の定着率は何倍にも跳ね上がります。
「語呂合わせ」も立派な知恵だ
「語呂合わせなんて、邪道だ」という人がいますが、とんでもない。あれこそ、音のリズムと意味のない数字を無理やり結びつける、高度な「連想テクニック」です。
- 「794年(平安京遷都)」→「**鳴くよ(794)**ウグイス平安京」
- 「root(根)」→「植物の**ルート(root)**をたどる」
これらはすべて、新しい知識(年号や英単語)を、すでに知っている言葉やイメージに「フック」しています。 ワッツも、「アイデアを規則的な順序や方法で配置すること」 の重要性を説いています。自分なりのルールやリズムで知識をつなぎ合わせることは、脳内に整理されたネットワークを作るための、最も効率的な工事なのです。
まとめ:記憶力とは「こじつけ力」である
今回は、丸暗記をやめて「つなげる」ことで記憶を強化する方法についてお話ししました。
ポイントを振り返ってみましょう。 第一に、脳は「孤立した情報」を覚えるのが苦手。新しい知識は、必ず**「知っている知識」と結びつけること。 第二に、バラバラの情報を覚える時は、「ストーリー化」**して、映像や感情を伴う「線」にすること。 そして第三に、語呂合わせやこじつけでも良いので、**自分なりの「フック」**を作ることが、記憶定着の近道であること。
「記憶力が良い人」というのは、「こじつけ力」が高い人、つまり「連想ゲーム」が上手い人です。真面目に覚えようとせず、もっとふざけて、もっと自由に、知識と知識をつなげて遊んでみてください。脳は、そんな遊び心が大好きですから。
【明日からできるアクションプラン】 今日、どうしても覚えられない英単語や用語を一つ選んでください。そして、その言葉の「読み方(音)」や「意味」から連想して、ダジャレでも、変なイラストでもいいので、一つだけ「こじつけ」を作ってみましょう。 (例:英単語「Ponder(熟考する)」→ 読みはパンダ…「『パンダ』が笹について『熟考する』」という絵をイメージする) そのバカバカしいイメージが、最強の記憶のフックになります。

