EVは本当に「ガソリン車」よりお得なのか? 維持費(充電代・税金・メンテ)を40代の視点で徹底比較シミュレーション

こんにちは。

最近、街で静かに走る電気自動車(EV)を見かけることが本当に増えましたね。私の周りでも、次の車検で乗り換えを検討している40代の知人たちが「EVって、実際どうなの?」と話題にしています。

「ガソリン代がゼロになる」「税金が安い」「環境に優しい」 そんな魅力的な言葉が並ぶ一方で、 「車両価格がめちゃくちゃ高い」「充電が面倒くさい」「結局、元は取れるの?」 という現実的な疑問も聞こえてきます。

特に私たちのような40代は、日々の家計、子供の教育費、そして老後のことも考え始め、車のような大きな買い物には慎重になりがちです。

そこでこの記事では、「EVは本当にガソリン車よりお得なのか?」という疑問に真正面から向き合います。補助金などの初期費用から、毎日の充電代、税金、メンテナンス費用といった維持費まで。データを基に徹底的に比較し、40代の現実的な視点で「どちらが賢い選択か」をシミュレーションしていきます。

「自分にとっては、どちらが正解か」を見極めるための、具体的な判断材料を提供できれば幸いです。

1. 比較の「モノサシ」を揃えましょう(前提条件)

「お得」かどうかを比べるには、まず比較の土台(前提条件)を揃える必要があります。車のクラスや使い方によって、コストは大きく変わってしまいますからね。

今回は、特に競争が激しく、現実的な選択肢となりやすい「コンパクトカークラス(軽自動車含む)」で比較してみましょう。

【比較の前提条件】

  • 比較モデル:
    • EV代表: 日産 サクラ(軽EV)
    • ガソリン車代表: ホンダ N-BOX(ガソリン・NAモデル)
    • ※どちらも日本で非常に売れている人気モデルで比較します。
  • 購入条件: 新車で購入。
  • 保有期間: 9年間(車検3回分)
  • 年間走行距離: 10,000km
    • ※通勤や買い物、週末のレジャーなど、平均的な家庭の走行距離を想定。
  • 燃料/電気代単価(仮定):
    • ガソリン(レギュラー):175円/L
    • 電気代(自宅充電メイン):夜間電力プランで 30円/kWh
    • ※電気代は契約プランや時間帯で変動しますが、平均的な目安として設定します。
  • 燃費/電費(カタログ値ではなく実燃費に近い想定):
    • N-BOX(ガソリン車):20km/L
    • サクラ(EV):7km/kWh

この前提条件で、9年間のトータルコストを試算していきます。

2. 比較①:最初のハードル「イニシャルコスト(車両価格と補助金)」

まず、購入時にかかる費用です。ここがEVの最大のネックと言われています。

ガソリン車(N-BOX / Gグレード)

  • 車両本体価格(目安):約165万円

EV(サクラ / Xグレード)

  • 車両本体価格(目安):約254万円

この時点での価格差は約89万円。やはりEVは高いですね。

しかし、EVには「補助金」という強力なサポートがあります。

  • 国の補助金(CEV補助金): 軽EVの場合、上限55万円(2024年度予算)
  • 自治体の補助金: 例えば東京都の場合、国の補助金に上乗せで約45万円(条件による)

仮に東京都にお住まいの方がサクラを購入した場合、 254万円(本体) – 55万円(国) – 45万円(都) = 実質 154万円

なんと、このケースではガソリン車のN-BOX(165万円)よりも、EVのサクラ(154万円)の方が初期費用が安くなるという逆転現象が起こります。

もちろん、補助金額は自治体によって大きく異なりますし、国の補助金も年度や条件によって変動します。しかし、「補助金を使えば、初期費用はガソリン車と変わらないか、むしろ安くなる可能性がある」ということは、EVを検討する上で非常に重要なポイントです。

※お住まいの自治体の補助金は必ずご確認ください。

3. 比較②:最大の焦点「ランニングコスト(燃料代 vs 充電代)」

ここが「EVはお得」と言われる最大の理由です。年間10,000km走ると仮定して計算してみましょう。

ガソリン車(N-BOX)

  • 必要なガソリン量:10,000km ÷ 20km/L = 500L
  • 年間のガソリン代:500L × 175円/L = 87,500円

EV(サクラ)

  • 必要な電力量:10,000km ÷ 7km/kWh = 約1,429kWh
  • 年間の充電代(自宅・夜間電力):1,429kWh × 30円/kWh = 約42,870円

年間の差額は 約44,630円、EVの方が安くなりました。 これはあくまで自宅で安価な夜間電力を使って充電した場合です。もし日中の高い電気料金(例:40円/kWh)で充電すれば年間約57,160円、公共の急速充電(例:60円/kWh)ばかり使うと年間約85,740円となり、ガソリン代との差は縮まります。

「自宅に充電設備を設置でき、安い夜間電力を利用できること」が、EVの燃料コストメリットを最大化するカギとなります。

4. 比較③:見落とせない「税金(自動車税・重量税)」

車を保有している限り、毎年・または車検ごとに発生するのが税金です。ここにも大きな差があります。

自動車税(種別割) ※毎年

  • ガソリン車(N-BOX):軽自動車なので一律 10,800円
  • EV(サクラ):軽自動車なので一律 10,800円
    • ※あれ? 差がない? と思いますが、これは軽自動車同士の比較だからです。
    • ※もし普通車(例:日産リーフ)ならEVは一律25,000円(新車翌年減税あり)、同クラスのガソリン車(1.5L)なら34,500円となり、EVが安くなります。
    • 今回は軽自動車比較のため、自動車税での差は(新車翌年の減税を除き)ほぼ無いものとします。

自動車重量税 ※新車購入時・車検時

  • ガソリン車(N-BOX):エコカー減税が適用される場合、新車時・初回車検時は減税・免税がありますが、それ以降は発生します(9年保有で車検3回)。
  • EV(サクラ):新車登録時、初回車検時、2回目車検時(7年目)まで免税です。(エコカー減税)

9年間で見ると、ガソリン車は重量税を(減税適用度合いによりますが)数万円支払うのに対し、EVはほぼゼロ円(9年目の車検で初めて発生する可能性)です。ここでも着実に差が出ます。

5. 比較④:地味に効いてくる「メンテナンス費用」

車を維持するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ガソリン車(N-BOX)

  • 必須: エンジンオイル交換(半年に1回)、オイルフィルター交換(1年に1回)、スパークプラグ交換(数万kmごと)、エアフィルター交換など。
  • これらはエンジンを動かすために必要な、避けて通れないコストです。

EV(サクラ)

  • 不要: 上記のエンジン関連の部品が一切存在しないため、交換費用はゼロです。
  • 必要: エアコンフィルターやブレーキフルードの交換はガソリン車と同様に必要です。

私の知人(整備士)も言っていましたが、EVは構造がシンプルな分、定期交換部品が劇的に少ないのが特徴です。年間数千円~数万円の差ですが、9年間積み重なると大きな節約になります。

ただし、EVには「バッテリーの劣化」という懸念があります。メーカー保証は手厚い(サクラは8年16万km)ですが、保証が切れた後に高額な交換費用が発生するリスクはゼロではありません。とはいえ、最近のバッテリーは非常に高性能化しており、通常の使用(9年・10万km程度)で交換が必要になるケースは稀と考えられています。

6. 【シミュレーション】結局、9年間でどちらが「お得」か?

さて、これまでの比較を合算して、9年間のトータルコストを見てみましょう。 (※補助金は「国の補助金55万円のみ」利用、ガソリン車は「減税なし」の標準ケースで試算します)

(A) ガソリン車(N-BOX)

  • ①初期費用(車両代):165万円
  • ②燃料代(9年):87,500円 × 9年 = 787,500円
  • ③税金(9年):自動車税(10,800円×9年)+重量税(仮に2万円)= 約117,200円
  • ④メンテ代(9年):オイル交換等(仮に年1万円)= 90,000円
  • 9年間トータルコスト(A):約 2,644,700円

(B) EV(サクラ)

  • ①初期費用(車両代 – 補助金):254万円 – 55万円 = 199万円
  • ②充電代(9年):42,870円 × 9年 = 385,830円
  • ③税金(9年):自動車税(10,800円×9年)+重量税(ほぼ0円)= 約97,200円
  • ④メンテ代(9年):エンジン系ゼロ(仮に年3,000円)= 27,000円
  • 9年間トータルコスト(B):約 2,500,030円

【試算結果】 このシミュレーションでは、9年間で約14万円、EVの方がトータルコストが安い結果となりました。

もし、東京都のように自治体の補助金(45万円)が加われば、その差は一気に約59万円まで開きます。

逆に、あまり車に乗らない人(年間5,000km)だと、燃料代のメリットが減るため、ガソリン車の方が得になる可能性もあります。

7. 40代の知人たちが「EV/ガソリン車」を選んだリアルな理由

コスト比較は重要ですが、私の周りの40代の友人たちは、コスト「だけ」で車を選んでいるわけでもないようです。

EV(サクラ)を選んだAさん(40代・妻、子供2人) 「うちは戸建てで、太陽光パネルも載せてるんだ。だから自宅充電が前提。夜間に充電すれば、日中の電気代も気にしなくていいし、ガソリンスタンドに行く手間がゼロになったのが想像以上に快適だよ。妻が子供の送迎や買い物で毎日乗るから、静かで運転が楽なのも好評。補助金でN-BOXと変わらない値段になったのが決め手だったね。」

ガソリン車(N-BOX)を選んだBさん(40代・独身・趣味がキャンプ) 「俺は初期費用をとにかく抑えたかった。あと、週末に高速使って片道200kmとか普通に走るし、キャンプ場近くに充電スポットがあるか不安で。軽EVだと航続距離(サクラは180km)がちょっと物足りなくて。ガソリン車ならどこでも給油できる安心感を選んだよ。リセール(売るときの価格)もN-BOXは安定してるしね。」

結局のところ、「お得」の形は人それぞれのようです。

8. 結論:あなたにとっての「お得」はどちらですか?

今回の徹底比較シミュレーションから見えてきた結論は、以下の通りです。

EVが「お得」になる可能性が高い人

  1. 自宅に充電設備を設置できる人(戸建て、または許可の取れるマンション)
  2. 年間の走行距離が比較的多い人(目安として年8,000km以上)
  3. 補助金が手厚い地域に住んでいる人
  4. 車を長く(7年~10年)乗り続ける予定の人
  5. ガソリンスタンドに行く手間や、エンジンオイル交換の手間を「コスト」と考える人

ガソリン車が「お得」であり続ける可能性が高い人

  1. 初期費用(車両価格)を何よりも重視する人
  2. 自宅に充電設備を設置できない人(集合住宅など)
  3. 年間の走行距離が極端に少ない人(年5,000km未満)
  4. 長距離運転や、充電インフラが不安な地域へ行くことが多い人

EVは、単に「維持費が安い」というだけでなく、「運転が静かでスムーズ」「自宅でエネルギー充填が完結する」といった、ガソリン車にはない独自の「快適性」という価値も提供してくれます。

ガソリン価格の変動リスクを避けられるのも、家計を管理する40代にとっては大きなメリットかもしれません。

あなたのカーライフにおいて、何を一番重視するのか。 初期費用の安さか、長期的な維持費の安さか、それとも日々の利便性や快適性か。

この記事が、あなたにとっての「最適解」を見つけるヒントになれば幸いです。


【免責事項】 本記事に記載されている車両価格、補助金額、税制、ガソリン価格、電気料金、燃費(電費)等は、記事執筆時点(2025年10月)の調査に基づく一例または仮定の数値です。これらの数値は、購入時期、地域、契約プラン、運転スタイル、車両のグレードやオプションによって大きく変動します。 補助金や税制(エコカー減税など)は、年度によって変更または終了する可能性があります。 本記事のシミュレーションはあくまで一例であり、特定の車種の優位性を示すものではなく、また将来的なコストを保証するものではありません。 車の購入を検討される際は、必ずご自身で最新の情報を販売店や自治体にご確認の上、ご判断ください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。

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